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『小説』永遠に宇宙に~さよならは言わない~ 2章 第17話

虎次「龍次よォ」
龍次「フフフ、同じ事を考えているさ、双子だろ?」
虎次「アイツ無事だよな?」
龍次「それをこれから確かめに来たんだろ?」
虎次「尊天寺(そんてんじ)┄┄住職なら┄確実なだけに、聞きたくねェのもあんだよなァ」
龍次「だけど、それを受け入れるのも、だろ?」
巫子「あ!!龍次さんに虎次さん」
龍次「久し振り巫子ちゃん」
虎次「住職は?」
巫子「今新堂へ入りました」
龍次「ありがとォ、俺達は本堂で待つよ」
巫子「じゃ直ぐお茶を用意しますね?」
虎次「行くか」
ザッザッザッザッザッタッタッタッタッタッ、スゥ~ッ
虎次「正直な所どォ思ってんだ?」
ドスッ
龍次「悪いけど8対1、当然悪い方が8だ」
虎次「残りの1は?」
龍次「分からないって所」
虎次「8が悪いか┄┄」
龍次「何言ってんだよ、虎次はもっとだろ?」
虎次「あァ┄┄俺は悪いが10だと思ってる」
龍次「だと思った」
スゥ~ッ、スタスタスタ
帝尊「待たせたな?それにしても、2人で来るとは珍しい、あれの確認か?」
龍次「新堂へ入られたと」
帝尊「あァ、様子を見て来ただけだ」
虎次「どォだったんスか?」
帝尊「頃合いだ、いつでも行ける」
虎次「30年っスか」
帝尊「いや、31年だ、長かったが┄良く育ったものだ」
龍次「そォですね?、何せ必要な水が無いのですから」
虎次「だよなァ┄何で草木があんなに」
帝尊「恐ろしいのは苗木を渡して来たバルと言う者だ」
龍次「31年も先の事を考えていた」
帝尊「うむ、繊細な計画だ、しくじる訳には行かぬ、恐らくこの期を逃せば二度と奴を討つ事は出来ぬたろォな?┄┄して?今日はそれを聞きに来た訳では無いのだろ?」
龍次「はい、住職の“力”を借りに」
虎次「これが写真と時計っス」
帝尊「分かっておるな?この“力”は当人の魂の声を聞くだけだ」
龍次「はい、承知しています」
帝尊「名は?」
龍次「孔と言います」
帝尊「中国の者か┄日本語は?」
虎次「下手糞っスけど大丈夫っス」
帝尊「うむ、では少し待て」

帝尊「ふむ、どォしたものか」
龍次「どォしたんですか?」
帝尊「魂の声が聞こえぬのだよ」
虎次「んじゃ孔はもォ」
帝尊「いや、死すとも声は届くのだが┄魂の声が存在せぬと言う事は、この者自体が存在していない」
龍次「ですが、写真に映っている者は存在していました」
虎次「そォっスよ、5日前には会ってるんスから」
帝尊「だが、声が聞こえぬ以上私では」
龍次「こんな事があるのでしょォか」
帝尊「う~む┄何せ初めての事だからな?」
虎次「ん~~~┄┄でもなァ┄┄たけどそれなら┄いやァ流石に┄┄だけど赤の柱だったら┄┄ん~~~」
帝尊「何じゃ虎次、話してみろ」
虎次「その前に、龍次、孔って中国生まれだよな?」
龍次「あァ、河南出身だと俺は聞いたよ?」
虎次「真逆とは思うけど、アイツ日本生まれの中国育ちって事ァ┄┄」
龍次「それがどォかしたのかい?」
虎次「住職はもォ気付いてんスよね?若しかしてだぞ?今アイツはグラン・バルに行ってるんじゃねェか?」
龍次「それは無いよ、だって肉体が残れば残魂で住職の“力”が┄┄肉体ごと?」
虎次「あァ、他にも赤の柱があったとしたら?」
龍次「でも、そォなるとリミットは?それに赤の柱は住職が作ったんじゃ」
住職「いや、あれは新堂に突然現れたんだよ、ふむ、虎次の言う事に一理あるな?他にもあったと考える方が自然だ、然し龍次の言う事も事実┄あそこではリミットがある、ならばどォして┄┄」

帝尊「ん?何だ?あの光┄┄球?う、浮いてる」
スゥ~~~~~
帝尊「ち、近いて┄┄俺に用があるのか?」
「君を待っていたんだよ」
帝尊「しゃ、喋った!!」
「そりゃァ光の球だって喋るさ、何言ってんだよ君は」
帝尊「そ、そォなのか┄すまなかった 」
「フフフ、さァ着いて来て?」
帝尊「は?ちょっと待てよ、何で行き成り現れた意味の分からんものに着いて行かなきゃ」
「来なければ死ぬよ?」
スゥ~~~~~
帝尊「し、死ぬって┄┄┄┄そんな事言われたら」
タタタタタタ┄┄┄
帝尊「おい!!どこまで行くんだよ!!」
スゥ~~~~~ピタッ
帝尊「あ、止まった┄┄ん?誰か居る」
スタスタスタ┄┄┄
バル「ご苦労でした閑(かん)」
帝尊「かん?」
閑「違いますって、「かん」じゃなくて「のどか」ですってば、好い加減覚えて下さいよォ」
バル「あァ」
閑「あァって┄丸っきり興味なさげじゃないですか、もォ」
帝尊「のどか?」
閑「私の名前だよ」
帝尊「女みたいだな?声は男っぽいのに┄若しかして女なのか?」
閑「男だよ!!気にしてんだからそこは触れないでくれよ!!」
帝尊「で?俺にこの人を会わせてどォするつもりなんだ?のどかちゃん」
閑「次言ったら殺す!!」
バル「相手にするな閑(かん)」
閑「のどかです!!」
バル「今から話す事は、時が来るまでは一切他言してはならない、再び戦える龍と虎が現れるまでは」
帝尊「再び戦える龍と虎?ってか、お前は何者なんだよ」
バル「私はバル、全てを導く者」
帝尊「全てを┄┄黒い奴と関係あるのか?」
バル「関係┄なくもない、だが黒い戦士は我らの敵、だがお前はそれを信用するのか?だ」
帝尊「ったく、信用しなけりゃ俺は死ぬんだろ?」
バル「フフ賢いな?だが正しい選択だ、良く聞け、お前は今後黒の戦士とは一切戦わず、私のサポートをしても貰う」
帝尊「サポート?┄どんな事だ?」
バル「まず、お前の後ろにある赤の柱に触れ、肉体を持った儘こちらに来て貰う」
帝尊「肉体の儘?」
バル「地球にも同じ柱を用意した、だが肉体は直ぐにこの地には順応しない、リミットはとても短い┄リミットが来ると身体が動かなくなり、やがて呼吸も出来なくなる」
帝尊「対策は?」
バル「少々強引だが、早くこの地に順応させるには、倒れるギリギリまでこの地に居て、リミットが来たら柱に触れ地球に戻る、それを繰り返して行けばリミットが伸びる」
帝尊「成る程┄確かに強引だな?で?最初のリミットはどれ位なんだ?」
バル「初めは10分あるか無いかだ、成長の速さは己の身体次第だ、能力の高い者ほど、早く順応する、因みにだが、若しここで死んだ場合だが、肉体は地球に戻る様にしてあるから安心しておけ」
帝尊「安心って、死んだ事なんか┄まァ良いか、で?俺はどんなサポートをすれば良いんだ?」
バル「閑(かん)」
閑「のどかですってば!!ったく、ちょっと待ってて下さいよ、今姿変えますから」
ボワ~~ン
帝尊「え?┄┄お、お前┄人になったのは良いんだけど、見た目女っぽいな?」
閑「煩いよ!!┄┄ほら!!」
ドサッドサドサッ
帝尊「苗木?」
バル「そォ、お前はこの4つの苗木を育てる事」
帝尊「育てるって┄┄どれ位だ?」
バル「幹の太さは直径で1m、期間は30┄いや、31年と言った所か」
帝尊「31年もだと!!」
バル「育った幹はお前の“力”で結界を張る、それとこの場所は当分の間、黒い戦士が来る事は無いから安心しろ」
帝尊「だったらお前の“力”で結界を張れば」
バル「私の“力”は、存在を薄くするだけだ、お前の“力”の様に、完全な結界を張れる訳では無い」
帝尊「って、ちょっと待てよ、俺の“力”っスなんだよ、俺はそんな“力”なんて」
バル「今はまだ眠っているだけ┄自信を信じるのだ、必ずその時が来る、それまで己を鍛え開眼させるのだ」
帝尊「┄┄まァ、“力”の事は良いや、なァ、結界とその意味を教えてくれよ」
バル「結界の張り方は任せる、目的は2つ、赤の柱の守護、黒の戦士の捕縛」
帝尊「守護と捕縛┄┄だからサポートか、それにしても30年は長いな」
バル「再び戦士が揃う頃、少し前になるかもしれない┄結界を張るまでに奴を倒せる戦士が現れる、赤の戦士はその者のサポートに回すのだ」
帝尊「赤の戦士はサポート┄┄んで?アイツを倒せるって奴はどんなのだ?人数は?」
バル「分からぬ、そこまでは見えていない」
帝尊「そォか、んで?31年間の両者はどォなるんだ?共にかなりの死者が出ているが?」
バル「┄┄┄┄┄┄」
帝尊「ハア┄┄已むを得ない犠牲と言う訳か」
バル「時間が来た、今後は閑(かん)に聞くと良い」
スタスタスタ┄┄
閑「のどかだってのに┄ハア┄┄まァそォ言う事だからさ、バルは色々忙しいんだよ、君は時間が来たみたいだから、次来た時に詳しく話すよ、あ、そォそォ次からは肉体の儘来てよね?赤の柱に触れれば来れるから」
帝尊「白い戦士としてでは」
閑「うん、君はもォ白い戦士ではなくなる、だから白として呼ばれる事は無い、次からは肉体を持った赤の戦士としてだよ?さァ、早くしないと消えちゃうぞ?」
帝尊「うわ!!か、身体が透けて来た!!」
閑「柱に触れれば戻れるから」
帝尊「分かった、じゃ、じゃァな?次来た時にまた話してくれ」
タタタタタタ閑「おォい、苗木を忘れてるよ?」
帝尊「そ、そォだった」

龍次「何故住職はこちらではなく、グラン・ハバルで育てよォと」
帝尊「色々考えたが、こちらには害となるものが沢山あると思ってな?あちらで害となるものは」
虎次「あ!!黒い戦士だけか、でもアイツ等は木なんかに興味はもたねェ」
帝尊「そォ言う事だ」
龍次「育った苗木をどォするのですか?」
帝尊「五行を使う」
虎次「ん?何スか?五行って」
帝尊「元は中国の古の思想でな?宇宙の万有を作っている元としたのは、木(もく)火(か)土(ど)金(ごん)水(すい)の5つの元素とされており、木は火を生み、火は土を生む、土は金を生み、金は水を生む、そして水は木を生む様に巡っておるとな?」
龍次「命の巡回┄┄それで黒い戦士の捕縛をですか」
帝尊「うむ、それで黒い戦士の消滅は避ける事が出来る┄┄それがバルとやらの狙いなのだが、私はそれだけでは無理だと思っているのだがな?」
龍次「確かに┄当時よりも黒い戦士の力は上がって来ています、何か方法はあるのですか?」
帝尊「うむ、ワシは4本の苗木に四神を取り入れようと考えておる」
龍次「成る程、各門に門番を作り守らせると言う事ですか」
虎次「あのォ┄┄話しに着いて行けてねェんスけどォ」
帝尊「なんと、虎次は四神を知らなんだか」
虎次「スんません」
龍次「四神とはね?矢張り中国の古に信仰されて来た事なんだけど、天の四方を掌る神の事なんだよ」
帝尊「ふむ、龍次は物知りじゃな?」
龍次「虎次にはこっちの方が知っているかもね?青龍・白虎・朱雀・玄武」
虎次「へェ~、それが四神だったのか」
龍次「うん、東の青龍、西の白虎、南の朱雀で北の玄武」
帝尊「龍、虎と来てな?朱雀とは鳥の姿に見立てられた神、玄武とは亀、又は亀に蛇が巻き付いた姿に見立てられた神なのじゃ、玄武は亀に見立てられた事から水神とも言われておる」
虎次「成る程」
龍次「住職、組み合わせはどの様にするのですか?」
帝尊「御神木を五角の柱に切り、各面に五行の印を刻む、正面を木とし、右回りに彫るのだ、そして柱を四方へと打ち込み、それぞれの柱に血印をする」
龍次「血印?」
帝尊「柱に纏わる守護者の血を、柱に注ぐのだよ」
虎次「ど、どれ位の量っスか?」
帝尊「少量で構わぬ、だが四神のバランスが必要だ」
龍次「其々同様の血印をしなければ結界は張れない」
帝尊「いや、張れぬ事は無いが、効果は薄い、破られやすく、又は抜け出してしまうだろォな?」
龍次「成る程┄俺と虎次だけが上手く合わせても駄目って事か」
虎次「あ?何で俺達が出て来るんだ?」
龍次「何言ってるんだよ、青龍の龍は龍次の龍、白虎の虎は虎次の虎って意味だよ」
虎次「あァ~、住職が言ってた纏わる者って意味がやっと分かった、んじゃァ残りは鳥と亀か?」
龍次「そォだね?でも┄俺はどちらも纏わる人を知らないんだよ」
虎次「亀はともかく、鳥ならァ┄┄┄居ねェな?俺も」
帝尊「ふむ、私もどちらも居ないな?」
虎次「あ┄┄ん~~~┄┄┄┄あのォ住職?」
帝尊「ん?何じゃ?」
虎次「それって、必ずしも戦士でなきゃいけないって事はァ」
帝尊「ふむ、奴を斃す為のサポート役だ、出来る事なら戦士の方が良い、然し結界を張るだけなら別に戦士出なくても良い」
龍次「虎次は誰か心当たりでもあるのかい?」
虎次「っス言うか┄朱雀って鳥だろ?」
龍次「そォだね?」
虎次「凰華の凰って鳳凰の凰だろ?確か雌鳥の事じゃなかったっけか?」
帝尊「ほォ、虎次がそれを知っておったとは、確かにな?鳳は大鳥の雄で凰は大鳥の雌を意味している」
虎次「あ~~でも駄目っス、龍が絶対OKしねェから」
龍次「でも、柱に血を注ぐだけだから、俺が聞いてみるよ」
虎次「知らねェぞ?どォなっても」
龍次「駄目元さ、後は玄武だけか」

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