『小説』永遠に宇宙に~さよならは言わない~ 2章 第28話
サラ「ん~……どこまでも広がる草原、大きな祭壇
白いローブに裸足、そして光の柱の前で膝を抱え座り込む私…んで、それを黙って見続けるサン………ハァ…幾ら約束だからって、こォも景色が変わらないとねェ?」
サン「そォですか?」
サラ「もォ随分経ったでしょ?後どれ位なの?」
サン「来てから10分が経ちましたので、残り2時間50分です」
サラ「10分!!来てからまだ10分しか経ってないの!!」
サン「はい」
サラ「マジか…ニーナには余裕だなんて言ったけど……私を見ているだけじゃ退屈でしょ?」
サン「いいえ?もォ二百年近く1人ですので、そこは気にしていません」
サラ「あら、ゴメンなさいね?変な事聞いちゃって」
サン「フフフ優しいのですね?」
サラ「まァね?ママにそォ教えられて来たから、でもゴメンね?本当は森に行ってあげたいんだけど、ニーナと約束しちゃってさ、あの子本当に煩いからさァ」
サン「そォでしたか、それては仕方ないですね?ニーナに言われたのでしたら」
サラ「ん?……ひょっとして、サンってニーナの事苦手?」
サン「……返答に困る質問は止めて下さい」
サラ「アハハハハ!!マジウケる、そォだったんだ、うんそォだよね?あの子マジ煩いもんね?」
サン「そ、そんな事より、こォしている間にも侵食は進んで行ってるのですが」
サラ「アハハ、話し逸らした……ねェサン?」
サン「はい」
サラ「暇」
サン「でしょォね?」
サラ「ニーナ的に言えばだよ?森の中に入らなきゃいいって事でしょ?」
サン「そォなりますね?」
サラ「だったら森の傍は行っても良いって事じゃない?」
サン「まァ、侵食具合が見れたり、斃された者の断末魔は聞こえると思いますが」
サラ「さらっと恐い事言うわねェ」
サン「行きますか?」
サラ「そォね?ここに居ても暇だからさ、でも丘の上までだよ?」
サン「分かりました」
サラ「こォして改めて森を見ると凄いわね?……何本あるんだろォ、サンは知ってるの?」
サン「私が来た時よりも成長していますから」
サラ「そっか、でも不思議だよね?水も無いし雨も降らないのに、何でここまで育つんだろ」
サン「この森は、私達……いえ、何でもありません」
サラ「うん、また変な事聞いちゃったみたいだね?ゴメン」
サン「…………この森は、私達の故郷を模して作りました、争いに寄って失われる前の森を」
サラ「まだ続いてるんだっけ?」
サン「はい、それを終わらせる為に私達はこの銀河に来ました」
サラ「早く終わると良いね?」
サン「えェ」
サラ「そォ言えば……ここで光っちにあったんだっけ」
サン「光っち?ですか?」
サラ「うん、浮く光る球体、知らないの?」
サン「はい、初めて聞きました」
サラ「ここに座ってたらね?光っちが話し掛けて来たのよ」
サン「光の球が…話しをですか」
サラ「アハハ信じられないよね?だって光の球だもん、そりゃ信じる方が可笑しいってね?」
サン「で、でも」
サラ「ん?」
サン「サラは信じたのですよね?」
サラ「あ……そォね?それ所か会話して、信用して……後くっ付いてっちゃった」
サン「…………………」
サラ「アハ、アハハ、アハハハハ、ま、まァ」
サン「どんな会話をしたのですか?」
サラ「ここに座ってたらね?」
光っち『こっちだよ』
サラ「そォ、こっちだよって」
サン「はい?」
サラ「え?いや、だから」
光っち『こっちだってば』
サラ『うん、そォ言ってた』
サン「私は何も言ってませんが」
サラ「あれ?……もしかして私にだけ聞こえるの?」
サン『どォやらその様ですね?それで?何と言っているのですか?』
サラ『いや、こっちだよって……あ!!いた!!光っちだ!!』
サン「私には……見えない様ですね?」
サラ「そォなんだ」
光っち『サラ!!急いで来て!!大変な事になってる!!』
サラ「えェ~、そォ言われてもさァ」
光っち『早くしないと間に合わない!!』
サラ「だってェ、ニーナに入るなって言われてるからさァ」
サン「何と言っているのですか?」
サラ「え?あァ…何かね?急がないと大変な事になっちゃうとか、間に合わないって」
サン「緊急事態ですか……行かれるのですか?」
サラ「いやァ……ニーナ怖いし」
サン「ですね?」
サラ「本当にニーナの事苦手なんだね?」
サン「…………………」
光っち『もォ!!早くしないと!!友達がどォなっても良いの!!』
サラ「友達?それはヤバいじゃん」
光っち『だから早く!!』
サラ「わ、分かったわよ」
タタタタタ
サン「行くのですか?」
サラ「うん!!友達が危ないって言ゥから!!ニーナにはサンの所為にしとくね?」
サン「な、何故私の所為に………」
ダダダダダダ
サラ「ねェ、本当に私の友達なの?」
光っち『僕が嘘付いた事ある?』
サラ「まございました……まだ一回しか会ってないんだけどね?」
光っち『ほらあそこ!!』
サラ「ん?……赤いローブ?あんなの居たんだ」
光っち『良く見て!!』
サラ「良くって……あれ?あの子凰華ちゃんじゃん……凰華ちゃん!!何で!!あ、あれって…捕まってんじゃん!!」
光っち『だから大変だって言ったじゃん』
サラ「でもさァ……あれだけの人数が…それにあの目付きの悪いのって、絶対親玉だよね?」
光っち『うん、アイツは怨皇、この星の災悪だよ』
サラ「あのねェ……そんなのに私が勝てるとでも思ってるの?」
光っち『いやァ~無理だね?』
サラ「だったら何で連れて来たのよ!!」
光っち『あ!!何か話してる』
「怨皇様、赤い戦士を捕えて参りました」
怨皇「うむ、赤い戦士までおったとは…もしや貴様が全てを知る者なのか?」
凰華「…………………」
怨皇「ふむ、では何故貴様は肉体を持っておるのだ?」
凰華「…………………」
怨皇「強情なヤツだ、貴様からは以前感じた氣がしない、目的を話せ」
凰華「…………ク」
怨皇「ク?」
凰華「……苦し………息………い」
怨皇「おォ!!これはすまなかった、貴様にもリミットがあったのか、して?どォする?私なら貴様を助けられるが?」
凰華「……た、………助け」
怨皇「ふむ、限界か」
ブワワッ……ガチャン!!ガチャン!!
凰華「ガハァ!!ヒュ∼ヒュ∼…ゲホゲホガハッ」
怨皇「どォやら助かってしまった様だな?」
凰華「…………………」
怨皇「ハッハッハ、命を助けた者を睨むかフフフ、それで?何か話す気になったか?」
凰華「何故私は生きているの?」
怨皇「そォだな?それの説明が先か、貴様の足を見てみろ」
チラッ
怨皇「その足枷はリミッター解除、即ち延命器具だ、寄って当然だがそれを外せば即死ぬ」
凰華「……そんな、これを付けたまま」
怨皇「分からぬな?貴様がとォやってここへ来たのか分からぬが、恐らく無理であろう」
凰華「アンタの目的は何よ!!」
怨皇「大きな力を得る事、貴様の目的は何だ?」
凰華「この地に肉体を持って来てしまった兄を探し、連れ帰る事」
怨皇「成程……目的は私の計画を邪魔する事では無いか、貴様に良い事を…良くも無いか?教えてやる、長きにこの地におるが、肉体を持って私の前に現れたのは貴様だけだ」
凰華「兄さんを知らない?」
怨皇「うむ、知らぬな?」
凰華「そんな……だってドラゴは」
怨皇「もォ行って良いぞ?」
凰華「え?」
怨皇「何を驚いている、貴様は私の計画を邪魔しに来たのでは無いのだろ?ならば好きにすれば良いではないか」
凰華「わ、私を殺さないの?」
怨皇「殺す理由があるのか?」
凰華「い、いいえ」
怨皇「私は忙しいのだ、さっさと行け」
凰華「あ、うん」
タタタ
怨皇「兄が見つかると良いな?」
ピタッ
凰華「ありがとォ」
タタタタタ…………
怨皇「ありがとォ…か、ただの気紛れだと言うのに」
サラ「あれ?凰華ちゃん無事しじゃん」
光っち「そォだね?」
サラ「大変じゃないじゃん」
光っち「そォだね?」
サラ「殺されるんじゃなくて、命救ってくれたよ?」
光っち「そォだったね?」
サラ「光っち?…大丈夫?」
光っち「ん∼∼良く分かんない」
怨皇「さて、そろそろそこで見ていないで出て来たらとォだ?」
サラ「ウギャァ∼∼バレてた!!ひ、光っち………居ないし!!」
ダダダダダ
怨皇「フフ逃げたか、追え!!」
「ハハッ」
スササササッ
サラ「ちょっとォ!!何なのよ!!凰華ちゃんじゃなくて、私がピンチじゃん!!それに慌てて逃げたから光の剣置いて来ちゃったし!!もォ!!光っちの馬鹿!!」
スササッ
サラ「ウゲェ!!追い付かれた」
スササッ
サラ「嫌ァ∼∼ん、囲まれちゃったァ、あァ
あニーナ絶対怒るよなァ…まァ
死んじゃったら関係ないんだけど」
ドスッドスッドスッ
「ギャァァァ!!」
サラ「はい?……何で勝手に死んじゃったの?」
光っち「ゴメンごめん、ちょっと用事があったからそっち行ってたら、まさかこんな事になってたとは」
サラ「えェ∼∼とォ∼∼………誰?」
光っち「酷いなァ、僕だよ僕」
サラ「その喋り方って…もしかして光っち?」
光っち「当たり!!ってか直ぐ気付いてよ」
サラ「無理だって、人形になったの初めて見たんだもん」
爽「あ、そォだった、ゴメンね?テヘペロ」
サラ「いや、可愛く無いから」
壮「あちゃ…それじゃ改めて、僕は爽(あきら)って言うんだ」
サラ「あら、ちゃんとした名前があったのね?……爽?日本人?」
爽「元ね?色々あって、突然変異で生まれ変わったのさ」
サラ「そォなんだ」
「待たせましたね?」
「どォ言う事だ!!何故赤い戦士など用意した!!」
「赤い戦士?」
「む?貴様の差し金では無いのか?」
「どォやらその様ですね?」
「他に何者かが動いておると言うのか」
「敵、だったのですか?」
「ん?……こちらに肉体を持って来てしまった兄を探しに来たと……ヤツも肉体の儘」
「肉体の儘?そんな事あり得ませんが……出会ったのは事実」
「あァ」
「それにどォやら敵ではなさそォですね?」
「その者にはリミットがあった」
「ですがその者の兄には無い」
「む?…確かに……調べる必要がありそォだな?」
「えェ、私の方でも調べてみます」
「もし……敵であるのなら、少々手古摺りそォだな?」
「そォですね?肉体がある以上簡単にとは行きませんね?」
「一つ聞く、肉体を持った者との吸収融合は可能か?」
「恐らく、ですが出来て1度、2度となるとそれは賭けでしかありません」
「成程……上昇する確率は」
「極めて低いでしょう」
「分かった」
「では話しを変えます、青い戦士と言えば分かりますか?」
「奴なら私が始末したが?」
「はい、ですが最近白い戦士達の話しに、目撃したとの話しが出て来ています」
「あれで生きていたのか……矢張り貴様の言う通り、確認するべきだった」
「今更の話しをしても仕方ありません、とにかく赤い戦士とやらと共に調べて見ましょう、もしかしたら最悪のシナリオになるかもしれませんので」
「うむ、ではいま暫くは増兵を止めておくか」
「それが良いと思います、それと計画が変更するかもしれませんので、心しておいて下さい」
「承知した」