400字ドラマ・映画感想文「コンフィデンスマンJP」
初出: zoomトークショー「相田冬二、映画を語る」に参加した際、私が提出した課題感想文です。2020/10/10
ボクちゃんは、東出の長身や朴訥な話し方を贅沢に活用した役柄だ。
「何にだってなれる」というダー子のとおり、ボクちゃんも毎回様々な姿に変身してよく似合う。しかし、何にだってなれるが、何者でもない、そんな不思議さを持っている。
コンフィデンスマンの世界は不明瞭だ。
妙ちくりんな名前で呼び合って、お涙頂戴の過去も、涙ながらの恋心も、最後には玩具の銃に詰め込んで札束と一緒に吹き飛ばしてしまう。
あんな現実離れした詐欺の世界を観客に納得させるのは、実のところ、その不明瞭さではないのだろうか。
次回の映画第三弾は楽しみだし、ドラマも続いてほしい。
でも、ずっと不明瞭なままでいてほしいのだ。
ダー子とボクちゃんが幼い頃何をしたのか、ボクちゃんがダー子を好きなのかどうか、明らかにならないまま終わってほしいのだ。
なぜかって?
「だってその方が面白いじゃーん」とはダー子の名言である。
目に見えるものが真実とは限らないのだから。