短編小説 コーヒーカップでつかまえて
裕美は友人の正美の家の近くにある喫茶店に来ていた。もう一人の友人、和美と三人で中間テストのテスト勉強をしよう、という目的だった。
この喫茶店の店主は、正美の叔母で、叔母はその父、正美の祖父から店を引き継いでいた。正美の叔母は、正美の母とだいぶ年が離れていて、正美が生まれたとき、まだ小学生だった。
「正美ちゃんが生まれたとき、私、まだ小学生だったのに、おばさんになっちゃたのよ」
と、たまに愚痴のように言うことがあった。
「あなたたち、こんなところで本当に試験勉強なんてで