マガジンのカバー画像

星にまつわる短編集

8
投稿したショートショートをまとめました。 同じ人物が登場するシリーズ作品になっています。
運営しているクリエイター

2024年10月の記事一覧

短編小説 魚の口

 和美は、高校へ向かう道をゆっくりと歩いていた。駅へ向かう通勤の大人たちを横切るように歩…

浅葱秋星
2週間前

短編小説 赤道儀

 透は、トイレで顔を洗って、鏡に映る顔を見つめた。 ――そろそろ髪を切らなきゃな。  髪が…

浅葱秋星
2週間前
5

短編小説 星を盗んだ男

 ファッと大あくびをした口に手をあて、裕美は窓へ向かった。友人の和美から借りた漫画が面白…

浅葱秋星
2週間前
2

短編小説 雨と火星のリグレット

 裕美は冷たい雨の中、家路を急いだ。吐く息が白くなる。傘を持つ手もかじかんで、感覚が無く…

浅葱秋星
2週間前
2

短編小説 ティアラと欠けた皿

 裕美は望遠鏡を持っているが、これは、裕美が中学に入学した時の入学祝として、裕美の母方の…

浅葱秋星
3週間前
4

短編小説 コーヒーカップでつかまえて

 裕美は友人の正美の家の近くにある喫茶店に来ていた。もう一人の友人、和美と三人で中間テス…

浅葱秋星
3週間前
4

短編小説 バースデーカード

 裕美が星を見ることが好きになったのは、祖母の影響だった。都会の裕福な家で生まれ育ったという祖母は、自然の星空ではなく、当時珍しかったプラネタリウムを見たことが星を好きになったきっかけだったそうだ。裕美と言う名は、その祖母の裕子という名前から一字もらって付けられたものだった。  息子である裕美の父は、星にはあまり興味を示さなかったが、孫の裕美は祖母に教えられた星座を夜空を見て指し示すことが出来るほど好きになっていた。  そんな、祖母の七十五回目の誕生日が来週に近づいて、裕美は