晩秋の忘却【詩】
秋に溶け入りたい
そうしたら
冷えたわたしの体が
温かく感じられるかもしれないから
秋に溶け入りたい
そうしたら
冷めたあなたの心も
温かく感じられるかもしれないから
秋に溶け入りたい
そうしたら
同じ温度の心と体は
深く混ざり合えるかもしれないから
あなたは秋
拒絶するような虚空の高さに
手が届くはずもなく
少しばかり急ぎ足で動く大地に
わたしは抵抗しながら天を仰ぐ
空気は当然のように澄んでいて
肺の中に秋を吸い込んでは
温めたような気持ちになり
吐き出してはまた吸い込む
彩りの片付けも間もなく終わり
もうすぐ完全な冬が訪れる
氷の下で感覚を失う前に
わたしはあなたを
©️2022 ume15
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