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雪だ!
朝、散歩に出かける。
東の空から、真っ赤な太陽が登ってきた。今日は、やけに赤く感じる。朝日に照らされる家々の窓も、赤く染まっている。
西の空は、灰色の雲たち、もわもわとしている。雪雲だ。風は強くない。吐く息は白い。気温は何度くらいだろう。氷点下にはなっていないはずだ。
いつもの通り、川縁を歩き、もう少し歩きたくなったから、視界が開ける田んぼの多いエリアを目指した。広い道路を走って渡り、歩き出したところで、視界に、ちらっと、白いものが横切った。なんだろう。わたしは立ち止まる。
また、ちらっ。
ちらっ。
あっ、雪だ!
わたしは空を見上げる。灰色の空から、白い雪が、ふうわりふうわりと、舞い落ちる。雪の結晶もわかる。小さな結晶たちが手をつないで、まとまって降ってくる。
雪はまだ水々しい。ダウンジャケットに当たると、ぽしゃぽしゃと、雨のような音がした。うれしくなって、手袋をかざす。なかなか、手のひらに、雪は落ちてはくれない。
まぁいいかと、わたしはまた歩き出す。時々、走る。
そうしたら、どんどん雪が降ってきた。白いもやがかかったように、目の前の景色が霞んで見える。ここは風が吹いていないけれど、上空では強い風が吹いているみたい。太陽はすっぽりと、分厚い雲に隠されていた。さっきまで、あんなに明るかったのに。水々しい雪は、次第に軽やかな雪に変わっていく。積もるだろうか。
アスファルトの道の上では、雪はサッと溶けてゆくようだ。黒いにじみがいくつもできた。田んぼや畑では、雪が溶けずに積もってゆく。そういえば、今朝は霜で真っ白だった。それでも、まだ地表があたたかだろうから、雪は積もらないだろうなぁ。
また、立ち止まる。手袋をかざすと、雪がたくさん落ちてきた。サラサラ。雪の結晶がよくわかる。
近く中学校から、軽快な曲が流れてくる。朝の音楽かな。パート先の子どもたち、今頃、大喜びしてるだろう。まだ、寝ているうちの息子も喜びそうだ。写真でも撮ろうと思って、思い出す。携帯は家にある。走るだろうからと、置いてきてしまった。
また、歩く。手先がじんじんとしている。軽く汗もかいている。息は上がっていない。心地がいいなぁ。
トータル、30分くらいは歩いただろうか。雪は幾分、小止みになった。うちが見えた。ベランダの洗濯物が、目に入る。
あっ!忘れてた!
しまわんと!
わたしは、慌てて駆け出した。
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