【140字小説】イヴ(1885)【絵画】
作者 アンナ・リー・メリット(1844~1930)
所蔵 個人蔵
儚げな四肢を縮こませて、イヴは地べたに坐り込んだ。魅惑の果実を口にした瞬間に訪れたほんのわずかな快感が、後味と共に羞恥へと変わってしまった。
全裸でいることが恥ずかしい。今まで気にならなかったことが不思議なぐらいに。
自分から無垢が消えたことを、イヴは悟った。
個人的解釈
禁断の果実を食べてしまったイヴがモデルになっているこの絵画。
足元には一口食べてしまった果実が転がっています。
この禁断の果実を描く際にはイヴの夫であるアダムと、食べることをそそのかした蛇がいるはずですが、この絵画にはそれらが描かれていません。
つまりこの絵は純粋に、生命の母であるイヴを描いた作品と見ることができます。
イヴが顔を背けているのは、羞恥を覚えたからです。
楽園では皆が無垢なので、裸でいることが全く恥ずかしくないんですね。しかし禁断の果実を食べてしまったせいで、イヴは羞恥を覚え、裸でいることを恥ずかしく思っているのです。そうなると、脚を閉じているのも局部を隠すためだと理解することができますね。
また、この後の話になるのですが、アダムとイヴは局部を葉で隠します。しかしこの絵ではそういった描写が見受けられません。つまりイヴはまだ裸のままなのです。それを踏まえて考えてみると、どことなく足をモジモジ動かしているように見えてくるのは私だけでしょうか。手の指も一本一本交差して、恥ずかしがるように手遊びしているように見えますね
必死で恥ずかしさを隠そうとしても、恥じらうイヴの官能までは隠しきれない姿がとても官能的です。
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