74○ 1/13 書き下ろし「全てが私の景色なら」
「全てが私の景色なら」
世間の物差し内で生きて
それなりに溶け込み
普遍という言葉がぴったりだった
長い長い青春期
心に足跡を残し続けた
本当の想いは
読み続けた書籍の隙間に
隠したまま忘れていたのに
純粋に生真面目にあった
汚れなき心が荒んでいく様子を
目の当たりにしながら
どうすることも出来なかった
物語はそれから綴られていく
現実が嘘に負けるなど
信じたくもないが
人も国も蝕んでいく光景が
大々的に上映される世情
今ならば
まだ間に合うから
もう一つの私だけの景色を描き続ける
逃避のためではなく
私を見失わないために
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黄赤青(きせきせい)