514○ かたわれ
「かたわれ」
私たちの価値はもう話した
あなたはもう十二分に解って
今があることくらい
私も解っているのにどうして
何度も問いただすのか呆れながら
粘着性の執拗さを日々剥がしている
始まりは親から
もしくは誰かの助けで
物心ついてからは
全部自分で放ってきた私のかけら
ある時はたった一人に
ある時は雪が舞うように
ある時は風に吹かれた花弁のように
私は飛び回って
紆余曲折のうち
消えていった
今はどのくらい残っているのか
知る由もないが
これからも一つまた一つ
放ったり渡したり
私はどこかで生きていくのだ
いずれあなたに出会うまで
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NAKAJI