「ぜんもんのみち」 突然、祖母が口にした謎の言葉。 空調が無くても快適に過ごせる季節。私は東京から一人で、兵庫県にある母方の祖父母の家に遊びに来ていた。 正午過ぎ、テレビの音を聴きながら昼食の支度をする。冷蔵庫に残っていたキムチを使って作るキムチ炒飯。 ソファで出来上がりを待つ祖父が、にこにこしながらこちらを見ている。「もうすぐ出来るからね」と声をかけたものの、耳の遠い祖父には恐らく聞こえてはいないだろう。 出来上がった炒飯を三つのお皿に取り分けて、ダイニングテーブルの決ま
これは、コンビニ店員をしていたNさんから聞いた話。 Nさんはその日、夜勤でした。 深夜2時過ぎ頃、お客さんがいないタイミングでNさんはレジ金の確認作業をしていました。 すると、自動ドアが開く音が聞こえました。 「いらっしゃいませー」そう声をかけ入口に目をやると、誰もいません。 あれ?落ちているゴミにでも反応したのかな?Nさんはそう思い、作業を再開させました。 数分後、またウィーンと自動ドアが開く音が聞こえました。 Nさんは先ほどと同じく「いらっしゃいませー」と声をかけ、入口
旅館での話。 スタッフさん達は制服の和服をきちっと着ていて、接客も丁寧で感動していたのですが、1人だけ顔色が悪くボーッとしていて、こちらがすれ違い様に会釈をしても無視をする、感じの悪いスタッフさんがいたんですよ。 その方をよく見たら、制服が左前でした。
これは、遊園地で働いているHさんから聞いたお話です。 Hさんは、あるアトラクションを担当していました。 そのアトラクションは、乗り物に付属している光線銃で的を狙いながら進むシューティングライドで、所要時間は5分程。最後に獲得した得点が表示される為、お友達と競い合ったり、その日の最高記録を狙ったりと様々な楽しみ方があり、人気のアトラクションです。 特に子供からの人気が高く、1日遊び放題のフリーパスを持っている子は、何度も乗りに来るそうです。 その日は雨が降っており、遊園地全
Aさんの会社にはオバケが出ると噂の倉庫がある。 口を大きく開けて声を出さずに笑っている女が出るらしい。 その女を見てしまった者は、奇妙な音を聞いたり、誰もいないのに人の気配を感じたり、怪奇現象に悩まされるという。 頻繁に目撃情報があり、2日に1回はロッカールームで目玉の話題となっていた。 ある日、新人が入社した。 Aさんは怖がらせようと思い、新人に倉庫の話をした。 「あのね、この会社オバケが出るんだよ。廊下の突き当りの倉庫、わかる?そこなんだけど・・・」 Aさんがそこ
怖い話、お好きでしたよね。 だいぶ前ですけど、不思議な体験をしたので聴いてもらえますか? 夏に、1人で旅行をした時のお話です。 ご当地グルメや有名な水族館など、一通り観光を楽しんだ後、夕方にはホテルに着きました。 駅から近くて、お値段もお手頃。 館内も綺麗ですし、接客も丁寧で我ながら良いホテルを選んだなと思いました。 ルームキーを受け取り、エレベーターに乗ります。 私の部屋は402号室。 4階へ着き右に曲がり少し歩くと、402号室が見えてきました。 あれ?私は足を止めま
確か、今日も夕方から降る予報でしたよね。 ここ一週間、毎日毎日雨ばかり。 悩み事がある時は、せめて空だけでも晴れていて欲しいものです。 最近、変な女を見るんです。 現れる時間帯や場所、曜日はバラバラ。 何をするでもなく、私の事をじーっと見つめてくるのです。まるで時間が止まっているかのように、微動だにせず。 心臓を掴まれるような視線、思い出しただけでも気分が悪くなります。 その女はこれまでに4回、私の前に現れています。 1回目、3ヶ月前。 私はテレビを観ていました。 リ
これがすべての始まりだった。 あの看護師には、何かが見えていたのだろうか。 少し長いが聞いてほしい。 俺は風邪が悪化して、一週間ほど入院することになったんだ。 これが人生初の入院だったが、入院生活は思っていた以上に退屈だ。 大部屋だから、ストレスも溜まる。 今日の検査結果が良ければ明日には退院できると医師に言われたが、どうしてもじっとしていられなかった。 俺は、こっそり病院内を散歩することにした。 いつも使わない階段を通ったり、売店でお菓子を眺めたり。あてもなく適当に楽し
ねえ先輩、夜の公園って怖いと思いませんか? 駅からの帰り道に小さな公園があるんです。滑り台と、鉄棒と、ベンチがあるだけの。 いつも仕事終わりだと22時頃になるんですけど、ついついその公園を、見てしまうんですよ。 何も異常がない事を確認したいと言いますか・・・。分かります? まあ、特に何もないんですよ。時折若いカップルがベンチで雑談していたりしますけど。 その日もいつもと同じく、公園にちらっと目をやったんです。 そしたら、変な女性が、いたんですよ。 公園の真ん中にぼうっと立って