三十三番土偶札所巡り -南アルプス市ふるさと文化伝承館- ラヴィ&ピース
「三十三番土偶札所巡り」は、山梨・長野の土偶を愛で御朱印を頂く、土偶版の札所巡りです。
前回の記事、「-春日居郷土館- 鐘が鳴る郷土館の土偶たち」に続きます。
今回は山梨県南アルプス市 ふるさと文化伝承館へ。
八番札所「子宝の女神ラヴィ」、九番札所「人体文様付有孔鰐付土器」に会いに行きました。
アルプスの雄大な景色と広がる台地
山梨県の西側、南アルプス山麓に位置する南アルプス市は、雄大な山々と悠々と流れる川に囲まれた、広大な台地が広がる美しい場所です。
富士山に次ぐ日本第2の高峰、南アルプス・北岳からなる険しい山並み、その麓には約2万年前の旧石器時代から人が住み始めていました。
縄文時代には数多くの集落がつくられ、縄文~古墳時代の遺跡や古墳が多く残されています。
ふるさと文化伝承館で
南アルプス市のファンになる!
このふるさと文化伝承館の特徴は、スタッフが展示案内をしてくれることにあります。
それも、一通りの案内ではなく、来館者の興味がありそうな事に合わせた説明をしてくれ、さらなる興味を引き出してくれる、一人ひとりに寄り添った対応なのです。
もちろん都度都度の質問にも答えてくれ、ゆっくりと鑑賞したり写真を撮っている時は少し離れた場所に居てくれるなど、こちらに気を使わせない、十分に鑑賞ができるようにという気づかいが感じられます。
ロビーの床には70年前と現在の航空写真があり、南アルプス市の歩みや地図の役割もしていて、写真を見ながらスタッフとの会話も弾みます。
誰もが、〝南アルプス市が大好きになってしまう!〟そんな素敵な時間が過ごせます。
土偶札所巡り 八番
「子宝の女神ラヴィ」
市内に数ある遺跡の中でも、約5,000年前の縄文時代中期の住居跡や膨大な量の土器が出土したのが鋳物師屋遺跡。日本のみならず世界にも縄文の顔として、博物館や書籍などで紹介されています。
この遺跡から見つかった円錐形土偶「子宝の女神ラヴィ」は土偶界ではかなりの人気者。
大きなお腹に手をあてて労わるような姿から、妊婦を表していると言われています。
からだの中は空洞で小さな石か土の玉が入っていて、鈴のような役割もしていたと推測されています。
南アルプス市のアイドル的存在のラヴィは、キャラクターとしても大人気。
館内ではぬいぐるみなどのグッズも多数販売されています。
土偶札所巡り 九番
「人体文様付有孔鰐付土器」
同じく鋳物師屋遺跡から出土した土偶装飾の付いた土器は、土偶の全体が土器に張り付いているようにも見えます。
3本指の右手を挙げて、まるでピースサイン(指が1本多いですが!)をしているかのように見えることから、この4月にピースと愛称が決定!
(ラヴィとコンビで、ラヴィ&ピースになることも名前の決めてになったそうです。)
3本指と言うのも不思議ですが、これには「人間ではない」という意味を表していると考えられています。鳥などの生き物、もしくは精霊などでしょうか。
また3本指の左手は下げていますが、これは想像して作られたもの。一般的に土偶は、両手は揃って挙げているor下げているなので、このように違う動きをしていたとしたら、何らかの意味を持っていることに繋がるかもしれません。
御朱印 いただきました
御朱印を頂くには少し時間がかかるので、入館時にお願いしておきます。
この御朱印が作られた頃は、まだピースの愛称がついていなかったのが少し残念。
鋳物師屋遺跡に行ってきました
ラヴィ&ピースの故郷の鋳物師屋遺跡は、ふるさと文化伝承館から3㎞程のなだらかな台地にあります。
遮るものない台地にある遺跡は、南アルプスが望める風光明媚な穏やかな場所です。
縄文人たちはこの場所で、険しくそびえる山々や刻刻と変わる空を眺めながら暮らしていたのですね。
同じ場所に立って同じ景色を眺める…ほんの数ミリだけ縄文人に近づけた気分になりました。
これからも「三十三番土偶札所巡り」は、まだまだ続きます。
最後まで読んでいただき有難うございました☆