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【株】原油関連銘柄の株価変動を調べてみた

原油・天然ガスを開発/生産している企業と、国内石油元売りを行っている企業について、原油価格/為替の変動と、株価の因果関係を調べました。

企業一覧と事業内容

INPEX(1605)
当社グループは、当社、子会社70社(うち連結子会社63社)及び関連会社28社(うち持分法適用関連会社20社)並びに関連会社の子会社2社(2020年12月31日現在)により構成されており、わが国のほか「アジア・オセアニア」、「ユーラシア(欧州・NIS諸国)」、「中東・アフリカ」、「米州」 における石油・天然ガスの探鉱、開発、生産、販売及びそれらを行う企業に対する投融資を主たる業務としております。

石油資源開発(1662)
・E&P事業
当社及び連結子会社の日本海洋石油資源開発(株)は、国内において原油・天然ガスの生産を行っております。また、連結子会社の北日本オイル(株)は、当社の原油を購入し販売しております。
・インフラ・ユーティリティ事業
当社は、当社グループが生産する国産天然ガスに加え、相馬LNG基地及び日本海エル・エヌ・ジー(株)新潟基地において輸入LNGを原料とする気化ガスを製造し、これらのガスを、当社が保有する総延長800km超のガスパイプライン網を通じて沿線地域の需要家に販売しております。連結子会社の白根瓦斯(株)及び関連会社の東北天然ガス(株)は、当社より卸供給を受けてガスの販売を行っており、また、連結子会社の秋田県天然瓦斯輸送(株)は、当社が秋田県内で販売するガスの輸送を行っております。北海道では、勇払LNG受入基地において内航船により原料を受け入れ、その気化ガスを、国産天然ガスとともに道内需要家に販売しております。

ENEOSホールディングス(5020)
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会(最高経営意思決定者)が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている「エネルギー」、「石油・天然ガス開発」及び「金属」を事業セグメント及び報告セグメントとしています。また、報告セグメントに含まれない事業については「その他」の区分に集約しています。
・エネルギー
石油精製販売、基礎化学品、電力、潤滑油、機能材、ガス、再生可能エネルギー
・石油・天然ガス開発
石油・天然ガスの探鉱・開発及び生産
・金属
銅箔、精密圧延品、精密加工品、薄膜材料、非鉄金属資源の開発・採掘、非鉄金属製品(銅、貴金属、タンタル・ニオブ等)、非鉄金属リサイクル・産業廃棄物処理、チタン、電線
・その他
アスファルト舗装、土木工事、建築工事、陸上運送、不動産賃貸、資金調達等のグループ共通業務

出光興産(5019)
当社の事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績の評価をするために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
・燃料油
石油精製製品の生産・販売・輸出入及びトレーディング事業等
・基礎化学品
オレフィン・アロマ製品の生産・販売等
・高機能材
潤滑油、機能化学品、電子材料、機能舗装材、アグリバイオ等
・電力・再生可能エネルギー
発電(火力、太陽光、風力等)・電力販売及び太陽電池事業
・資源
原油、天然ガス及び石炭等のエネルギー資源の探鉱・開発・生産・販売

コスモエネルギーホールディングス(5021)
当社は持株会社として、子会社等の経営管理及びそれに附帯または関連する業務を行っております。当社グループは、子会社51社及び関連会社31社により構成され(2021年3月31日現在)、原油の自主開発から輸入・精製・貯蔵・販売を主な事業の内容としております。その他、一部の関係会社により石油化学製品製造・販売、不動産の販売、石油関連施設の工事、風力発電、保険代理店等の事業も営んでおります。

※事業内容は「https://www.buffett-code.com/」から引用

企業から公表されている原油価格との因果関係

INPEX(1605)
油価並びに海外事業における天然ガス価格の大部分は国際市況により決定され、また、その価格は国際的又は地域的な需給(ネットゼロカーボン社会の進展による需要の下押し圧力の強まりを含みます。)、世界経済(感染症等の世界的な流行・拡大による経済活動の縮小の影響を含みます。)及び金融市場の状況、さらには、産油国政府の方針や産油国間における生産量等に関する合意の動向を含む多様な要素の影響も受け著しく変動します。かかる事象は当社により管理可能な性質のものではなく、将来の油価、天然ガス価格の変動を正確に予測することはできません。当社グループの売上・利益は、かかる価格変動の影響を大きく受けます。油価が1バレル当たり1米ドル変動すると、当社グループの2021年12月期については年間66億円増減することになると期初時点では試算されます。

石油資源開発(1662)
当社グループは、国内外でE&P事業と国内においてインフラ・ユーティリティ事業を行っており、その売上高や営業利益は、原油価格や天然ガス価格の変動により大きな影響を受けます。例えば、当社の2022年3月期の営業利益は、油価が1米ドル/バレル増減すると560百万円増減すると試算しております。この増減額には、原油価格にリンクしているLNGの調達コストの増減及びそれによる国内天然ガスと電力の販売価格の増減による影響等を含みます。但し、実際の営業利益は上記以外の様々な要因によっても影響を受けます。さらに、原油、天然ガス等の中長期的な想定販売価格の引き下げ等を理由としてその時点における事業用資産の帳簿価額を将来の収益から回収できない見込みとなった場合には、当該資産について減損損失を計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

ENEOSホールディングス(5020)
石油・天然ガス開発事業においては、原油及び天然ガス価格の上昇時には売上高が増加し、原油及び天然ガス価格の下落時には、売上高が減少します。従って、原油及び天然ガス価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

出光興産(5019)
当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。また、当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。

コスモエネルギーホールディングス(5021)
原油価格は、需要動向と供給動向により大きく左右されます。原油の需要は世界経済の動向や石油製品の需要に影響されます。特に大消費国である米国や経済成長著しいアジア地域、中でも中国の動向に影響されます。また、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格が影響を受ける恐れがあります。当社グループでは原油価格動向を日々注視しながら事業を進めておりますが、原油価格の変動が大きい場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える原油価格変動の感応度を測定しておりますが、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、石油開発事業のセグメント利益は年間9億円増減する可能性があります。

企業から公表されている為替との因果関係

INPEX(1605)
当社グループの事業の多くは海外における探鉱開発事業であり、これに伴う収入(売上)・支出(原価)は外貨建て(主に米ドル)となっており、損益は外国為替相場の影響を受けます。円高時には、円ベースでの売上・利益が減少し、逆に円安時には、円ベースでの売上・利益が増加します。一方、当社グループは必要資金の借入にあたり、外貨建で借入を行っており、外貨建借入金は、円高時は期末円換算により為替差益が生じ、円安時には期末円換算により為替差損が生じることから、上記の事業の為替リスクが減殺され、為替変動による損益面への影響を小さくする方向に働きます。米ドル・円の為替レートが1円変動すると、当社グループの2021年12月期については年間20億円増減することになると試算されます。なお、当社は一部為替リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の為替リスクを全てカバーするものではなく、外国為替の変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。

石油資源開発(1662)
当社グループが国内で生産する原油や天然ガスは、原油やLNGの通関価格(CIF価格)を参照した円建てで販売するため、米ドル・円のレートの変動は、売上高や営業利益等に影響を与えます。また、輸入LNGを原料とした天然ガス及び輸入LNGを燃料とした電力の国内販売価格にも影響を与えますが、仕入れ価格も同様の影響を受けます。当社の2022年3月期の営業利益は、為替が1円/米ドル増減すると220百万円増減すると見込んでおります。

ENEOSホールディングス(5020)
当社グループは、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。

出光興産(5019)
当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間30億円増減する可能性があります。

コスモエネルギーホールディングス(5021)
当社グループは、原油の輸入及び石油製品等の輸出入を行っており、その調達コストは通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。外国為替レートの変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなります。また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える為替変動の感応度を測定しておりますが、1米ドル当たり1円変動すると、石油事業及び石油開発事業のセグメント利益は合わせて年間13億円増減する可能性があります。

中間総括

原油・天然ガスを開発/生産している企業も、国内石油元売りを行っている企業も、原油価格が上昇すると、自社の売り上げも上がると利益構造について公表していることが分かりました。原油は日本国内ではほとんど採掘されておらず、海外での採掘がメインになっているため、原油の売買は外貨建てになっており、為替レート(主に米ドル)の影響を受けていることも分かりました。円高時には、円ベースでの売上・利益が減少し、逆に円安時には、円ベースでの売上・利益が増加します。
原油価格と為替レートとの因果関係について理解できたので、次は実際のチャートと比較してみて、株価変動の検証をしてみます。

チャート比較検証

WTI原油先物とUSDJPYの比較チャート
青色が原油価格、オレンジ色がUSDJPYのチャートです。
2020年の6月から11月にかけては、原油価格と為替レートの値動きは逆行しているものの、2021年の値動きは、ほぼ同じ。

ライン水色:WTI原油先物
ラインオレンジ:USDJPY

WTI原油先物とUSDJPYの比較チャートに各社チャート表示

INPEX(1605)
ライン水色
石油資源開発(1662)
ライン黄色
ENEOSホールディングス(5020)
ライン紺
出光興産(5019)
ライン紫
コスモエネルギーホールディングス(5021)
ライン緑

総括

原油価格と為替レートの値動きが逆光している2020年の6月から11月にかけてのチャートを見るに、原油価格よりもUSDJPYの値動きに反応しているように見える。ただし、2021年の原油価格と為替レートの値動きがほぼ同じなので、一概に原油関連企業は、原油価格ではなく為替レートの値動きに反応するとも言えない。
約1年間だけの検証なので再現性の担保は全然取れてないが、原油価格の上昇と円安が同時に起これば、原油関連企業の株価は上がる、原油価格の下落と円高が同時に起これば、原油関連企業の株価は下がる可能性が高いと仮説が立てられるかもしれない。


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