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言霊になれない言葉たち。

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2021年5月の記事一覧

摩天楼と月。

摩天楼と月。

雨を見に行こう
雨に濡れに行こう
偽物の雨はもう嫌だから
アスファルトは嫌だから。

山が見えると雨が見えない。
霞む草木は雨を呑み込んだ。

見えないモノを見に来た。
見えてる事を確かめて。

アスファルトには月がよく似合う。

現の声

現の声

雨の昼間は優しくなりたいと思う。
目覚め切れていない瞼をきつく閉じて、
戻らない日常に独り言を重ねた。

「会いたい」

このまま降り続けばいいと願う。
太陽を別つ雲が遥か遠く溶けて
見えない太陽の陽射しに遠雷が聞こえる。

「会いたい」

このまま優しく、目覚める事がなければ。
私だけ世界から忘れてくれたら。

会いたい。
私の呟きかあなたの叫びか。

雨の降る世界からは
区別に迷う。

反戦集会

反戦集会

昨日より曖昧な言葉に縋れば
今日はいつもより鳥が騒がしい。
群衆を分ける合図に頷けば
ありふれた日常が可愛く微笑んでいる。

指先で辿る嘘の言葉が真実に変わる様を
初めから終わりまで曝け出せれば素敵。
あなたより大事な私を自分で傷付けられるのならもっと楽しい。

世界はとても脆くて目を閉じるだけで終わる。
反戦運動の文字が勇ましく揺れている。

目を開けて写る私を見つめる電車の中。
それでも私を信

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何度目かの死。

何度目かの死。

眠るふりをしながら眠り続けている。
季節に咲く花が長い雨のせいで腐って行く。
月の光に何を知ればいいの
子守唄は何も教えない。

夜の匂いはどこの町でも懐かしい。
中途半端な寂しさと雑音が生まれ日に聞いた
初めての音に似ているから。

重なる街頭と月灯り。
影が交差する一瞬。

初めて死ぬというのに懐かしい。

手の平の上の命。

伸ばせば届く小さな赤ん坊
限り無く小さくて弱い命がそこにある。

手の平を伸ばして繋ぐ
手の平を合わせて導ける

愛された事しか無い赤ん坊は
私の笑顔に安心していた。
笑顔を疑わない赤ん坊は
私の手の平に応えて、繋ぐ。

握りしめなくても導ける
添えるだけでも導ける。

限り無く小さな命に耳を塞いだ手の平。

消えたのは音だけで良かった。

懺悔と転生の隙間。

もしも生まれ変わるとしたら...

それは避けなければならない。絶対に。

生きていては駄目だけど。

知らない間に心に傷を付けた人がいます。

ワザと傷付けた人も沢山います。

絶望を植え付ける為に笑っていた事があります。

それでも私は今日、あなたに愛されたいと

ただ願います。