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ピアノとギターに想像した未来。
「コンサート始めるよ〜」
時刻は18時前。
晩ごはんの準備をしながら、ミセスの歌を流しながら、ノリノリで長男とわたしとで歌っていたら、長男が言い出した言葉。
ちなみに、次男はご機嫌で寝転がっている。
コンサート?
何するつもりなのだろう。
今から晩ごはんだけどなぁ。
夜は戦い。ご飯のあとは、お風呂、着替え、歯磨き、寝かしつけが待っている。
長男は2階に行く階段の手前で、
「2階でコンサートするよ〜」
とすごくうれしそうだ。
「しようか、コンサート。何が始まるのかな?」
ガスの火を止めて、トースターの中の鮭の焼き加減を確かめた。あと3分くらい焼いたらいい具合なので、タイマーをセットする。手足をバタバタさせている次男を抱っこして、2階にあがった長男のあとを追う。
まあ、ちょっとくらい遅くなってもいいか。
2階へあがると、長男はピアノの椅子に座り、ポロポロポロンとピアノを弾いていた。
「それでは、◯◯くんのコンサートが始まります!お聴きください!」
高らかに、わたしがそう言うと、背中越しからでも、息子の微笑んでいる姿がうかがえる。
端末機からミセスのライラックを流しはじめる。なんとなく息子なりに音楽に合わせて、ピアノを弾いているよう。さながら、プロのピアノ奏者だ。
その姿を、膝の上にちょこんと座った次男ととともに鑑賞する。
すると、ピアノの横に立てかけていたギターが目に映った。
ピアノに、ギター。
いつか、次男も大きくなったら、長男と次男とで演奏会が開かれる日がくるのだろうか。
どちらかがピアノを弾き、どちらかがギターを弾く。わたしと夫がお客さんになって、聴く日がくるのだろうか。
そんな未来が一瞬、目に浮かんだ。
どんな顔をしているのかも、どんな表情をしているのかも、ほんとうにピアノやギターを手にもっているかすらもわからないけれど、このコンサートの今が確かに、そんな未来へと繋いでくれているように感じられた。
ポロポロと頼りなげに弾いている長男の背中を見ながら、膝の上で座っている次男のあたたかさを感じながら、そんな未来に想いを馳せる、とてもいい時間だった。
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「想像していなかった未来」というコンテストに応募させていただいて、実際のところ、今は未来に繋がっていて、想いや望みは、遅くとも花開く瞬間がくると思っている。
過去の自分が繋げてくれた今に感謝し、今の自分が繋げたい未来をひとつひとつ掬い上げながら創っていけたら。
そんな望みを抱いた、「想像した未来」でした。
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