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橋のはなし

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人類の三大発明といえば、「道」「階段」「橋」である。中でも、橋は、河を渡るための手段として始まり、創造的思考に基づいて様々な発展を遂げて現在に至っている。その架橋の歴史と美しい姿…
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#創造的思考

41.吊橋の起源について

まず橋の起源について  橋の起源については、川を渡るために飛び石を利用したり、川をまたいだ風倒木の上を動物が渡るのを見て考え出された。また、猿の群れが深い谷を渡るときのモンキーブリッジを見て、谷を渡る方法として考え出されたなどの諸説がある。  いずれも想像の域を出ないが、人類が自然の中で情報を収集し、橋というアイデアを見つけ出したことは間違いないであろう。これを積極的に発展させて利用したのが、石橋、板橋、吊橋へと発展したと考えられる。その背景には、川や谷を渡る必需性があ

16.人は何からでも学べるー京都木津川の流れ橋ー

学びの本質は観察にある  知識を得ることは大切なことである。知識を得るために、人は何からでも学ぶことが出来る。先人から学ぶことは当たり前であるが、堺屋太一の「歴史から学ぶ」、畑村洋太郎の「失敗から学ぶ」、安岡正篤の「論語に学ぶ」など、学びは人からとは限らない。  佐道健の「木を学ぶ 木に学ぶ」を読んで木の素晴らしさを実感することができる。重田康成の「アンモナイト学 絶滅生物の知・形・美/国立科学博物館」など形態学に関するものは興味深く、また奥が深い。  良く考えると「

14.ハイブリッド化による創造的思考ー福井の九十九橋ー

既成概念の組合せ、ハイブリッド化  京都の鴨川に架かる三条大橋は、1590年(天正18年)に豊臣秀吉が増田長盛に命じて行った改修工事により、従来の木造橋について橋脚のみを石柱とする水平展開により生み出された。  「腐食に強い石材」と「曲げ力に強い木材」を組み合わせることで、当時としては最強の耐久性を有する桁橋を実現したのである。  既成概念の組合せではあるが、社会には大きなインパクトをもたらした。これも創造的思考の一環と考えて良いであろう。   このように異なった材料

13.コンクリート製アーチ橋への道ー京都七条大橋ー

鉄筋コンクリ―トの発明と橋への適用  ローマ時代の技術者が石灰岩を砕き焼いて創ったセメントに砂と水を混ぜてモルタルとし、このモルタルにポッゾラーナ(ナポリ近郊のポッツォリに産する良質の火山灰)を加えると硬度と水密性が良くなることを発見した。  ローマでは、それに砂利を混ぜたものをオプス・カエメンティキウム(Opus caementicium)と呼び、道路・水路・浴場の建設に利用した。現在のコンクリートの起源である。実際に、コンクリート橋も架橋されているが、その外面は煉瓦

12.常識の非常識についてー京都の水路閣ー

常識と非常識について  常識(Common sense)とは「誰でも知っているありふれたこと」の意味で、広辞苑によれば「良識、社会通念、一般知識」と解釈されている。この常識は人が社会において生きるための重要な知識であるが、個々人によって必ずしも一致してはいない。  往々にして、『自分にとっての常識は他人にとっての非常識』でもある。この常識は様々な主体(世界、国、地域社会、企業、学校、家庭など)において存在し、取り巻く環境と時間により変化する。例えば、企業であればその企業

11.学ぶことの大切さー中国の盧溝橋ー

知識を得ることの大切さ  吉田兼好による随筆「徒然草」の一節(第52段)に、次のような話が出てくる。  ある時、仁和寺(注1)の老僧がひとりで男山八幡宮(注2)に参詣した。ところが老僧は山麓の極楽寺、高良の末社に参拝したのみで、山上にある本殿は拝まずに帰ってきた。そして、次のように言ったそうだ。  「お参りの人々がみんな山に登って行く、山登りに来た訳でもないのに・・・・」、あらまほしきは・・・・先達ということだ。  すなわち、知識と経験が豊富なはずの仁和寺の老僧でも、

10.古代メソポタミアでのアーチ橋発明ートゥールーズのボンヌフ橋ー

メソポタミア文明の誕生  人類の歴史上にはエポックメイキングな出来事がある。その多くは、気候変動によって引き起こされた。  長かった氷河期が終わると紀元前6000年頃からヒプシサーマルと呼ばれる気候温暖化が始まり、大型動物の生息地であるステップ(草原)が森林に覆われることで、食糧危機が引き起こされた。  これに対して、人類は農耕と牧畜による生活方式を発見して対応する。しかし、紀元前3000年頃に寒冷化が始まり、アジア・アフリカ地域の北緯35度以南の降雨量が激減して砂漠が広

9.イノベーションを起こすにはー沖縄の天女橋ー

天草市の町山口川に架かる祇園橋  石造りの桁橋は、橋脚数を増やすことで広い川幅にも対応できる。技術の水平展開である。  熊本県天草市船之尾町の町山口川に架かる祗園橋は、橋長:28.6m、全幅:3.3mで、約30cmの角柱の橋脚が5本並立の9列、合計45本が立てられている。川上側の橋脚は水切りのために三角に尖っている。  祗園橋は、1832年(天保3年)に庄屋の大谷健之助が発起して、庶民の協力によって建造され、石材は下浦村(現在の下浦町)産の砂岩を使い、石工も下浦村の石

8.水平思考で創造的思考力を伸ばすー三条大橋ー

飛び石から桁橋への垂直展開  創造的思考力を伸ばすために、橋を対象にして水平思考(展開)と垂直思考(展開)について考えてみた。  水平展開では、古くからある「飛び石」に川床を安定化するという新たな役割を見出して、現在でも数多く使われている。  一方、垂直展開では、より多くの人が安全に川を渡るために、「飛び石」を基台とし、板状の石や丸太を上に置いてつなぐ橋が考え出された。  飛び石は、橋脚の原型となり、橋脚の上に橋桁を乗せることで、桁橋が誕生した。  この垂直展開の例と

7.垂直思考で創造的思考力を伸ばす一京都の行者橋ー

垂直思考で飛び石から桁橋へ  創造的思考力を伸ばすために、水平思考(展開)と垂直思考(展開)について考えてみる。  水平展開とは、対象とする技術や知識などを他の分野や領域に適用することである。一方、垂直展開とは、対象とする技術や知識などを深めてさらに進化させることである。  実際、水平展開として、古くからある「飛び石」に川床を安定化するという新たな効果が見出された例があげられる。  一方、垂直展開として、より多くの人が安全に川を渡るために、「飛び石」を基台とし、板状の石

1.人類の3大発明

 教科書には、15~16世紀のヨーロッパに大きな社会変革をもたらした三つの発明、「火薬」「羅針盤」「活版印刷術」があげられている。しかし、実際には古代中国の4大発明とされる「紙」「印刷」「火薬」「羅針盤」が、ヨーロッパに移入されて改良・実用化されたものであることを知ると、真の発明(創造的思考)とは何かを考えさせられる。  創造的思考とは、ゼロから全く新しいものを生み出すことと定義する必要はない。たとえ既存技術の改良改善であっても、結果的に社会に大きな変革(イノベーション)を与