姿勢改善エクササイズ+呼吸=効果率アップ。
こんにちは、デイジーです。
今回は、ソウルで行われた、首や肩の姿勢が呼吸を取り入れてえると大きく変わった論文の紹介です。
タイトル
横隔膜呼吸の再教育と肩の安定化運動を組み合わせた遠隔リハビリテーションが上部交差症候群の若年成人男性の首の痛み、姿勢、機能に及ぼす影響:ランダム化比較試験
1. イントロダクション
上部交差症候群(UCS)は、首の前屈姿勢(FHP)や猫背(RSP)を特徴とする状態で、浅層の頸部屈筋の短縮と深層の頸部屈筋および伸筋の弛緩によって引き起こされます。これにより、首の痛みや機能障害、さらには呼吸機能の低下が生じることがあります。UCSの治療には、肩の安定化運動(SSE)と横隔膜呼吸(DB)の再教育が有効であることが知られています。本研究は、若年成人男性において、DB再教育とSSEを組み合わせた遠隔リハビリテーションが、UCSの症状(首の痛み、姿勢、機能)に及ぼす影響を検討することを目的としています。
2. 対象者
本研究には、ソウル市に住む20代から30代の健康な若年成人男性40名が参加しました。対象者の選定基準には、直近6ヶ月以内に首や腰の手術を受けたことがないこと、DB再教育およびSSE中に腰や肩に痛みを感じないこと、CVAが52度以下であること、仰向けになった際に肩峰の位置が2.5 cm以上高いことなどが含まれます。最終的に37名が実験を完了しました。
3. 検査方法
参加者は、ランダムに2つのグループに割り当てられました。一方のグループはDB再教育とSSEを組み合わせた遠隔リハビリテーションを受ける実験群(18名)、もう一方のグループはSSEのみを行う対照群(19名)でした。両群とも、週に3回、計4週間にわたって遠隔リハビリテーションを受けました。主要な評価項目には、上部僧帽筋の圧痛閾値(PPT)、頭蓋脊柱角(CVA)、肩の傾斜度(STD)、猫背(RSP)、首の障害指数(NDI)、および上肢の安定性を測定する閉鎖的運動連鎖上肢安定性テスト(CKCUEST)が含まれました。
4. 結果
4週間の介入後、両群ともにPPT、CVA、STD、RSP、NDI、CKCUESTの全ての評価項目において有意な改善が見られました(p < 0.05)。特に、DB再教育を受けた実験群では、右側のPPT、CVA、STDにおいて対照群よりも有意に大きな改善が見られました(p < 0.05/4)。これにより、DB再教育とSSEを組み合わせたリハビリテーションが、UCSの治療においてより効果的であることが示唆されました。
PPT(圧痛閾値)の結果
実験群の左側PPTは、平均0.47 kg/cm²の改善を示し(p < 0.001)、右側PPTは平均0.37 kg/cm²の改善を示しました(p < 0.001)。
対照群もまた、左側PPTが平均0.27 kg/cm²(p < 0.001)、右側PPTが平均0.10 kg/cm²(p < 0.05)改善しましたが、右側PPTにおいて実験群の改善が有意に上回りました(p = 0.002)。
姿勢評価の結果(CVA、STD、RSP)
CVA(頭蓋脊柱角)は、実験群で平均4.00度の改善が見られ(p < 0.001)、対照群は平均1.68度の改善でした(p < 0.001)。実験群の改善度が対照群よりも有意に高かったです(p = 0.005)。
STD(肩の傾斜度)は、実験群で平均2.83度の改善が見られ(p < 0.001)、対照群は平均1.00度の改善でした(p < 0.05)。これも実験群での改善がより顕著でした(p = 0.004)。
5. 考察
本研究の結果、DB再教育が首の痛みや姿勢、機能に有効であることが示されました。DB再教育を受けた実験群は、特に右側の圧痛閾値(PPT)、頭蓋脊柱角(CVA)、肩の傾斜度(STD)において対照群よりも優れた改善を示しました。これは、DB再教育がUCSの特徴的な姿勢異常に対して、特に首と肩の痛みや機能改善に貢献することを示唆しています。また、遠隔リハビリテーションは、患者の地理的な制約を克服し、より広範囲の患者に効果的な治療を提供する手段としての有効性が確認されました。
呼吸療法が首の痛みを軽減するメカニズムには、中枢神経系の痛み制御が関与している可能性があります。過去の研究では、ゆっくりとした深い呼吸が迷走神経を活性化し、これが脳と末梢組織間の感覚情報の伝達と調節に重要な役割を果たすことが示されています。さらに、DB再教育が、首の痛みや機能改善において他のリハビリテーション介入と組み合わせることで、より効果的な結果をもたらすことが確認されています。
6. まとめ(問い、客観的根拠に基づく論理的な答え)
本研究の結果は、DB再教育と肩の安定化運動を組み合わせた遠隔リハビリテーションが、上部交差症候群の若年成人男性において、首の痛み、姿勢、機能の改善に効果的であることを示しています。特に、右側の僧帽筋の圧痛閾値、頭蓋脊柱角、肩の傾斜度において、DB再教育がより顕著な効果をもたらしました。これらの結果は、上部交差症候群の治療において、呼吸再教育を含めることの重要性を示唆しています。
7. 疑問点や今後の課題
本研究の限界として、PPT(圧痛閾値)以外の首の痛みや姿勢の詳細な評価が行われなかったことが挙げられます。また、研究対象が若年成人男性に限定されているため、結果を他の年齢層や女性に一般化することができません。さらに、介入期間が4週間と短かったため、長期的な効果の検証が不足している点も課題です。今後の研究では、より多様な対象者を含め、長期的な効果を評価し、呼吸再教育のさらなる有効性を探る必要があります。
以上が今回の研究結果になります!
いやー、色々と妄想が膨らみますが
私個人が1番面白いと思った結果が
『右の僧帽筋上部繊維の圧刺激閾値が改善した』
です。
※ここからは私個人の推論です。
私達は、人体構造的も環境的にも『右』を好んで使う傾向にあります。
そのような右を好んで使う習性や習慣から抜け出せないでいる事が多いです。
そのため右の肩甲骨は下制し、右の上位肋骨の内旋、胸郭は左回旋位を取ることになります。
→(要は右側に傾くような感じ。)
この状態では右の僧帽筋上部がエキセントリックに収縮する形になります。
(頭部は正中を取りたいので、体幹が右に側屈していたら、立ち直りで左側屈位を取りそう)
このような姿勢を呈していると仮定し、横隔膜での呼吸をしっかり行うとどうなるか
→横隔膜をしっかり使う呼吸=腹腔内圧が360°広がるだろう。
→腹腔内圧が360°=肋骨も比較的全体的に外旋、内旋されるだろう。
→右肺尖部にも空気が入るから、僧帽筋上部がエキセントリックな活動抑えられる?
とな感じに思ってみたり。
まー、単純に横隔膜呼吸でリラックスできたとも考えられまるが
色々想像が膨らんで面白い論文でした!
ここまで読んで頂きありがとうございました!
この論文の詳細は以下をご参照ください。