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マインドフルネスを知っていこう

こんにちは、デイジーです。今回はシンガポールで行われた、マインドフルネスに関する論文を紹介します。



タイトル

マインドフルネス療法は脳機能ネットワークの再構成効率を向上させる

1.イントロダクション

マインドフルネスに基づく介入(MBI)は、心理障害の治療、認知機能の向上、感情調整において有望です。本研究では、MBIによって生じる脳活動の変化と神経可塑性のメカニズムを理解するため、休息状態と課題状態の間での脳機能の再構成効率に焦点を当てています。先行研究では、マインドフルネスが実行制御ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、サリエンスネットワークにおける脳機能の変化と関連していることが示されています。

2.対象者

本研究には、自己申告による睡眠困難を抱える127名の健康な高齢者(50~80歳)が参加しました。参加者はマインドフルネスに基づく不眠症療法(MBTI)と睡眠衛生教育および運動プログラム(SHEEP)の2つのグループにランダムに割り当てられました。データの不完全性やタスクパフォーマンスの低さを理由に除外された後、最終的に48名が分析に含まれました。

3.検査方法

  • 介入: 両方の介入は、8週間にわたる週2時間のセッションで、マインドフルネスの実践(MBTI)または睡眠促進の習慣(SHEEP)に焦点を当てました。

    • MBTI群: マインドフルネス実践には、マインドフルな食事、マインドフルな動き、瞑想が含まれました。

    • SHEEP群: 睡眠衛生教育には、睡眠を促進するための習慣と環境の適応、ストレッチング、呼吸運動、筋弛緩運動が含まれました。

  • マインドフルネス測定: Five Facet Mindfulness Questionnaire(FFMQ)を使用して自己申告によるマインドフルネスを評価しました。FFMQは、「観察(Observing)」、「描写(Describing)」、「意識的行動(Acting with Awareness)」、「内的経験の非判断(Nonjudging of Inner Experience)」、「内的経験の非反応(Nonreactivity to Inner Experience)」の5つの側面を測定します。

  • 脳機能測定: 機能的MRI(fMRI)スキャンを、休息状態と呼吸カウントタスク(BCT)中に実施し、脳機能の再構成効率を測定しました。休息状態では被験者は画面上の十字を凝視し、BCT中は呼吸の感覚に集中しながら、カウントを行いました。

  • データ解析: マインドフルネスと脳の再構成効率の変化を分析するために、線形混合モデルを使用しました。p値を得るために置換分析を実施しました。

4.結果

  • マインドフルネス測定:

    • MBTI群: FFMQの総スコアおよび「意識的行動(Acting with Awareness)」と「観察(Observing)」サブスケールが介入後に有意に改善しました。特に「観察(Observing)」サブスケールのスコアはMBTI群でのみ有意に増加しました。

    • SHEEP群: FFMQの総スコアおよび「意識的行動(Acting with Awareness)」サブスケールが改善しましたが、「観察(Observing)」サブスケールには有意な変化は見られませんでした。

  • 機能的再構成効率:

    • MBTI群: 実行制御ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、サリエンスネットワークにおいて、休息状態からタスク状態への脳機能の再構成効率が有意に改善しました。具体的には、これらのネットワーク内での機能的結合の再構成が効率的になり、タスクパフォーマンスが向上しました。

    • SHEEP群: これらのネットワークでは再構成効率の改善は見られず、むしろ減少する傾向が観察されました。特に実行制御ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、サリエンスネットワークにおける機能的結合の再構成効率が低下しました。

5.考察


本研究は、マインドフルネスの実践が自己申告によるマインドフルネスと脳の機能的再構成効率の両方を改善することを示しました。これにより、定期的なマインドフルネスの実践が神経可塑性の変化を誘発することが示唆されます。
脳ネットワーク効率の改善は、マインドフルネス関連のネットワークに特有であり、自己参照処理、内受容感覚、認知制御における役割と一致しています。また、マインドフルネス群では脳の機能的組織化が強化され、休息状態からマインドフルな状態への移行が容易になったと考えられます。
一方、睡眠衛生教育群ではこれらのネットワークの効率が改善されなかったことから、マインドフルネスの実践が特に脳機能の効率化に寄与していることが示されました。

6.まとめ

  • 問い: マインドフルネス実践は脳機能の再構成効率を改善するか?

  • 答え: 客観的根拠に基づくと、マインドフルネス実践は実行制御ネットワーク、デフォルトモードネットワーク、サリエンスネットワークの再構成効率を向上させることが示されています。これにより、脳の機能的組織化が強化され、休息状態からタスク状態への移行が容易になります。この変化は、自己申告によるマインドフルネスの向上とも一致しており、マインドフルネスの実践が神経可塑性を促進することが示唆されています。

7.疑問点や今後の課題

  • 疑問点: マインドフルネスの実践が脳機能の再構成に長期的にどのような影響を与えるのか?これらの変化が、時間経過とともに認知および感情の成果の改善とどのように関連しているのか?

  • 今後の課題: 脳と行動の変化の関連を探るために、より大規模なサンプルサイズと追加のフォローアップセッションが必要。さまざまなマインドフルネスタスクを用いて機能的再構成の効率を調査し、生理学的測定を含めることで、マインドフルネスの神経メカニズムを包括的に理解することが求められる。


以上が今回の論文紹介になります。


そもそも、マインドフルネスとはなんでしょうか?
マインドフルネスとは、今この瞬間に集中して、その時の感じや考えをありのままに受け入れることです。
例えば、
・食べるときに食べ物の味、食感、香りに集中すること
・座ったり、横になったりして、呼吸や体の感覚に注意を向ける瞑想
・歩いているときに足が地面に触れる感覚に集中すること
などのようなことです。

今回の論文では、このようなマインドフルネスが、睡眠の改善や集中力のアプ、認知機能の改善などが、脳機能からも観察することができたと述べられています。

今の現代社会は非常に日々の流れが早く、また将来的への不安や心配事も多い中、今この瞬間に集中して、その時の感じや考えをありのままに受け入れること時間を作ること生活の質が高まるかもしれませんね!


今回も、ここまで読んでいただきありがとうございました!
論文の詳細は以下をご参照ください。

Mindfulness-based therapy improves brain functional network reconfiguration efficiency
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37951943/


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