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「窓」春号と「リスボンの窓」

 俳句グループ「窓の会」の季刊誌「窓」春号、刊行されました。「窓の会」主宰の坪内稔典先生の第13句集「リスボンの窓」も発売中です。

「窓」 2024年3月3日 春号 窓の会 創風社出版 1000円(税込)
「リスボンの窓」 坪内稔典句集 ふらんす堂 2530円(税込)

 「窓」は、「窓の会」の常連たちの俳句とエッセイを載せています。107名の会員それぞれが俳句20句と「私の味方」をテーマにしたエッセイです。家族あり、天文あり、ペットや猫あり、食べ物あり、いろんな味方についてユーモア交えて、面白く読みました。
 また、巻末には2023年10月に行われた窓の会常連秋の集いのシンポジウムがテープ起こしされて、載っています。「読みが句を育てる」をテーマに語られています。

 「窓の会」主宰の坪内稔典先生の第13句集は「リスボンの窓」です。
79歳にして、「窓の会」を立ち上げてからの俳句が載っています。
 あとがきによれば、リスボンのコメルシオ広場のそばに小さな靴屋があって、その裏のホテルに滞在している作者の句集だそうで、題名はそこから??

 リスボンは行ったことがないけれど、素敵な街らしいです。今年の米アカデミー賞で最多11部門ノミネートのヨルゴス・ランテイモス監督「哀れなるものたち」で、知能が未発達な主人公ベラ(エマ・ストーン)が、弁護士ダンカンと最初に旅する街が「リスボン」でもあります。わくわくと想像力を掻き立てる街であり、「リスボン」という響きは軽やかです。
 好きな5句です。

  リスボンの靴屋の窓かヒヤシンス
  ころがってアリストテレスと冬瓜と
  ついさっきホタルブクロを出た人か
  秋晴れてアンパンたちに足がない
  ごろごろと遠雷ころころと心

 気ままにというより耄碌かもしれないが、リスボンの空は今日も青い、という一節が心地よく、時空の広がりを感じさせてくれる句集です。

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