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わたしの本棚

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2021年1月の記事一覧

わたしの本棚86夜~「漱石先生ぞな、もし」

わたしの本棚86夜~「漱石先生ぞな、もし」

 今月12日に亡くなられた半藤一利氏のエッセイです。「日本のいちばん長い日」は原作を読み、映画(2015年、原田真人監督)をみました。残念ながら、氏の書物で読んだのは、この2冊です。亡くなってから、その業績の大きさをテレビニュースやインターネット記事で知りました。戦前の日本に今の日本の状況が似ていると憂いていらしたそうで、自分の考えは右派の保守だと思っていたら、いつのまにか左派と言われるほど、日本

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わたしの本棚85夜~「女帝 小池百合子」

わたしの本棚85夜~「女帝 小池百合子」

 すごい本でした。読み終えて、むなしさを感じてしまいました。ここまで書くか、と。女性が働くこと、働いて権力をのぼりつめるのは大変なことです。わたし自身は、小池百合子さんに対して、ブラウン管の中での作られた顔しか知らないせいか、そんなに嫌悪感はなかったです。むしろ、女性初が続く人なので、応援していました。コロナ禍でも毎日、東京の状態をメデイアに伝え、正月も返上して知事の仕事をされている姿に、発言内容

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わたしの本棚84夜~「見るレッスン」映画史特別講義

わたしの本棚84夜~「見るレッスン」映画史特別講義

 「スクリーンと向き合う孤独から確信は生まれる」と見開きに名言があります。そして、帯とカバーにあるように、「映画は自分の好きなものを、他人の視点など気にせず自由に見ればいい。ただし、優れた映画には必ずハッとする瞬間があり、それを逃してはならない」という言葉に尽きます。映画の批評は感想とは違って、映像をつくる人はまず批評できなければいけないともあり、かなり辛辣にいろんな人を評されています。

☆「見

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わたしの本棚83夜~「たかが殺人じゃないか」

わたしの本棚83夜~「たかが殺人じゃないか」

2020年度、「宝島社・このミステリーがすごい」1位、「週刊文春ミステリーベスト10」1位、「ハヤカワミステリマガジン・このミステリーが読みたい」1位という、3冠を達成した推理小説です。88歳というミステリ作家史上最高齢というのも話題の辻真先氏です。「たかが殺人じゃないか」という言葉、読後に読むと哀切を感じてしまいました。

☆「たかが殺人じゃないか」辻真先著 東京創元社 2200円+税

 昭和

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