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岩場鎖場続きの石門めぐりはスリリング!「妙義山・中間道」 △登山の魅力△(0044)

低山ながら岩稜登山気分を楽しめる西上州の名山の麓をたどるルート。妙義山は日本三大奇景のひとつです。
(本記事/ 文字数:約5500字、読了:約11分)

《引用》 「妙義山の南西部を南から見る。県立妙義公園駐車場から撮影。」
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mt-myogi-in-summer.jpg
Attribution: Jesse Fuller, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

<妙義山・中間道の魅力>

(1)石門めぐりの奇観
アーチ状の奇岩が4つ集中した区間があります。なぜこのような形状になったのかまったく不思議な景観を呈しています。
(2)岩場鎖場の体験
石門めぐりの奇岩巨石の区間は岩場鎖場を通行することになります。鎖を伝ってトラバースしたり、直登したり、直降下したりといろいろな局面を体験することができます。


<概要>

妙義山・中間道 (みょうぎさん・ちゅうかんどう)
所在地: 群馬県甘楽郡下仁田町、富岡市、安中市
妙義山という名前の特定の山はなく、一帯の山系の総称。北側を裏妙義、南側を表妙義として区別。おおむね1000~1200m程度のピークが集合している。
中間道は表妙義の南麓側に付けられているトレッキングルート。”関東ふれあいの道”の一部。
中間道はルートの崩落等により一部通行止めとなっていたが、2024年6月に整備が完了しふたたび通行可能となった。


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩除く)
関東ふれあいの道・群馬県「コース10.さくらの里と石門のみち」を軸として妙義神社を起点・終点にした周回ルート。
妙義神社→ 金鶏橋(50分)→ 大人場(10分)→ 一本杉(40分)→ 妙義公園管理事務所・石門入口(10分)→ 第四石門(40分)→ 大砲岩分岐(5分)→ 東屋のある分岐(65分)→ 第二見晴(60分)→ 第一見晴(20分)→ 妙義神社(10分)→ 道の駅みょうぎ(10分)
コースタイム/ 5時間30分程度
標高差/ 450m程度

[登山道の特徴]

金鶏橋の登山口までは県道196号線をしばらく歩きます。
大人場(おにんば)は平地となっておりベンチなどもあり休憩適地です。
大人場からすこし上がると左手に白雲山の眺望があります。
一本杉からすこし下り県道196号線に合流して先へ進むと、左手に公園管理事務所があり、道路を挟んでその向かい側が石門めぐりの入口になります。
石門はアーチ状になっている奇岩であり全部で4つあります。
石門から先は岩にペンキで記された矢印にしたがって進みます。
石門めぐりのルート(第1石門から第4石門まで)は岩場をトラバースしたり、直登したり、直降下するような鎖場が断続します。
石門めぐりルート区間は落石が起こりやすいため途中で休憩しないで通行することが望ましいです。
第4石門を通過して大砲岩の分岐を越えると岩場鎖場はほぼなくなり一般的な登山道となります。左手の妙義山の岩壁をトラバースするような林間コースです。部分的に両側が切れ落ちたガケのヤセ尾根を歩く箇所もありますが、両側に手すりがあります。
”本読みの僧”という石仏がある地点が中間道のほぼ中間地点です。
第二見晴の手前に長い鉄梯子があります。
第二見晴からは金鶏山や金洞山の急峻でトゲトゲした稜線がよく見渡せます。
第二見晴の見晴台となっている岩のテラスはそれほど広くはなく、またその先は断崖絶壁ですので足元にご注意ください。人が多い場合は体をぶつけ合わないように注意が必要です。
第一見晴は第二見晴と同様に南西側の展望が開けていますが、木立が多くてやや見晴らしがよくないです。
登山道が終わると妙義神社の境内の脇に出ます。右手の簡易舗装の坂を下って県道196号線に合流すると左手の眼下に”道の駅みょうぎ”の駐車場が見えます。
●水場やトイレなど
水場は登山道上にはありません。
トイレはJR松井田駅、道の駅みょうぎ、妙義公園管理事務所(平日は閉鎖していることもある)にあります。
妙義公園管理事務所は休憩所を併設しています。

妙義山・中間道のルートマッピング
※電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成

[難易度・危険個所など]

石門入口から第四石門までのいわゆ”る石門めぐり”は岩場・鎖場が断続しています。岩稜登山経験があるか、経験者と同行してもらうことをお勧めします。単なるハイキングコースではありません。
石門入口から第四石門までのルートの途中に”大砲岩”への分岐路がありますが、一般道ではないので入り込まない方が安全安心です。
”大砲岩”については”石門めぐり”よりさらに1段階~2段階の岩稜登山経験が必要と思われます。狭い細いそしてステップが小さくまた高度感のある岩場鎖場を進みます。さらにこのルートを往来するほかの登山者と交錯する必要もありますが、安定した足場があり待機できるポイントはあまりありません。過去には事故も起きています。自信等がなければ入らない方が安全安心です。眺望は第二見晴で十分堪能できると思います。
地図やガイドマップ等で「上級コース」と表記され、金洞山・白雲山が連なるいわゆる表妙義のルートはロッククライミングの経験やスキルが求められるリスクが高めなルートです。単なる「上級コース」ではありません。安易に立ち入らない方が安全安心です。入り込んでからスキル不足のため途中で進退窮まる可能性があります。
GW前後から秋口までヤマビルが出ます。事前に忌避剤等を持参して使用することが望ましいです。
●群馬県 山のグレーディング
※”石門めぐり”のみ
体力度/ 1 (1→10)
難易度/ C (A→E)

[アクセス]

●往路
JR信越本線「松井田」駅から妙義神社までタクシーでおよそ10分。
●帰路
”道の駅みょうぎ”から乗合制タクシー「愛タク」で上信電鉄「上州富岡」駅まで40分程度。
《補足》
松井田駅からのタクシーは事前予約しておいた方が無難です。
「愛タク」の利用については本記事末尾に記載の富岡市Webサイトを事前によくご確認ください。「愛タク」の利用も事前予約しておいた方が無難です。「愛タク」は妙義神社、妙義ふれあいプラザ「もみじの湯」からも乗車可能です。

[国土地理院地図]

妙義神社

[コースマップ]

富岡市観光協会からコースマップが提供されています。
富岡市観光サイト「しるくるとみおか」 (富岡市観光協会)

<こんな方にオススメ>

(1)奇岩巨石などに興味がある
(2)岩場鎖場の体験がしたい
(3)歴史や由緒ある神社仏閣が好き


<関連情報>

[売店等]

妙義神社の門前に売店があります。
妙義神社からすこし離れたところ(徒歩圏内)に”道の駅みょうぎ”があります。
今回ご紹介したルートからすこし外れますが、中之嶽神社に売店があります。

[日帰り温泉など]

妙義ふれあいプラザ「もみじの湯」 (しるくるとみおか/富岡市観光)

[お食事処]

妙義神社門前の売店では軽食を提供しているところもあります。
”道の駅みょうぎ”内には軽食を提供する食堂があります。
”もみじの湯”内には食堂があります。
「登利平」 ※公式サイト  とりめし/上州富岡駅
「ポンチ軒」 ※公式サイト  とんかつ/高崎駅

[付近の山]

荒船山
浅間山
碓氷峠
黒斑山
関東ふれあいの道

[お天気情報]

妙義山 (山の天気/tenki.jp)

[そのほか]

「松井田」駅のそばにはコンビニエンスストアや飲食店はありません(徒歩15分程度離れたところにはある)。駅に自動販売機はあります。
「上州富岡」駅の近くの国道254号線沿いにコンビニエンスストアがあります。駅に自動販売機はあります。
●道の駅みょうぎ
”道の駅みょうぎ”内には観光案内所があります。
リンク先: 「道の駅みょうぎ」 ※公式サイト
●富岡市妙義ビジターセンター
妙義山一帯の観光や自然等に関する情報施設。
リンク先: 「しるくるとみおか/富岡市観光」 (富岡市観光協会)
●妙義神社
表妙義の東麓に位置する妙義山信仰の中心的な神社。
リンク先: 妙義神社 ※公式サイト
●中之嶽神社
表妙義の南麓に位置する神社。日本一の大きさとされる大黒天の像がある。
リンク先: 中之嶽神社 ※公式サイト
●富岡製糸場
世界遺産。上州富岡駅から徒歩15分程度。駅南口ロータリーに観光案内センター「セカイト」がある。
リンク先: 富岡製糸場 (しるくるとみおか/富岡市観光サイト)
      セカイト ※公式サイト
●関東ふれあいの道
環境省の長距離自然歩道構想に基づき関東地方各自治体が整備しているトレッキングコース(首都圏自然歩道ともいう)。関東地方をぐるりと周回するように160コースが区分して設定されており総延長は約1800km。首都圏以外の地域にも同構想による自然歩道の設定がある。
長距離自然歩道を歩こう! (環境省)


<私なりの楽しみ方>

妙義山・中間道は”関東ふれあいの道”のなかでも屈指の奇観・景勝スポットという印象です。

個人的には「”関東ふれあいの道”はお気軽なハイキングコース」という思い込みがありました。そのため初めてこのコースを訪れたときはちょっと面喰いました。石門めぐりの区間は岩場鎖場の断続。まだ岩稜登山経験が浅かったので「なんだここは!」と正直、狼狽えてしまいました。

とくに石門めぐりのルートは「岩場鎖場が好き、楽しい」という方には絶好だと思います。鎖がきちんと付けられており、岩にステップも刻まれて整備されておりますので難易度はけして高くはないと思います。しかしちょっと短い…。およそ30分ほどで石門めぐりは終わってしまいます。

難点は交通の便が悪いところでしょうか。登山口までへの公共交通機関がありません。最寄り駅の電車の本数も少ないです。山行時間よりもアクセスのための移動時間の方が長いのでは?とも感じます。

とにかく、妙義山の偉容が素晴らしい。妙義神社からは白雲山などの漫画にでも出てきそうなギザギザとした山の連なりは圧巻です。第二見晴からも金洞山も同様に異形の山容を楽しむことができます。この奇観奇景を間近に見るだけでも行く価値があるのではないでしょうか。

そんなわけで妙義山・中間道は、表妙義と裏妙義の本格的岩稜登山の雰囲気を感じて楽しめるエキサイティングな登山ルートであると思います。


<備考>

上毛三山 (Wikipedia)
ほかに赤城山と榛名山
日本三大奇景 (Wikipedia)
ほかに耶馬渓(大分県)と寒霞渓(香川県・小豆島)
首都圏自然歩道「関東ふれあいの道」 (環境省)
●「愛タク」
富岡市が運行するデマンド型(事前予約制)乗合タクシー。
リンク先: 市内全域におけるデマンド型(事前予約型)乗合タクシー「愛タク」を運行しています (富岡市)
●妙義山周辺の登山道情報等
山岳情報・山の情報 (群馬県警察)
妙義山登山 (しるくるとみおか/富岡市観光サイト)
登山道コース状況 (下仁田町)
富岡警察署 (群馬県警察)
安中警察署 (群馬県警察)
群馬県 山のグレーディング (群馬県)

<参考リンク>

しるくるとみおか/富岡市観光サイト (富岡市観光協会)
下仁田町観光協会 ※公式サイト
県立妙義公園 (群馬県)
下仁田ジオパーク (下仁田町)
関東ふれあいの道・群馬県 (群馬県)
「山と高原地図 21.西上州 妙義山・荒船山」 (昭文社)


<関連記事>
妙義山・中間道周辺の登山に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
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0028/御岳山
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(2024/10/03 上町嵩広)