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立山 △登山の魅力△(0033)

“日本三霊山”のひとつ。稜線から眼下に広がる立山室堂のパノラマ風景は見事です。

<山岳名>

立山
(たてやま)
所在地: 富山県中新川郡立山町


<概要>

立山は北アルプス北部に位置する立山連峰の呼称。”立山”という山があるわけではない。室堂を取り巻く雄山(おやま)、大汝山(おおなんじやま)と富士ノ折立(ふじのおりたて)が主要ピーク。
標高は、主峰・雄山/約3003m、最高峰・大汝山/約3015m、富士ノ折立/約2999m。
日本百名山、花の百名山(イワイチョウ)。

<アクセス>

立山黒部アルペンルートを利用し、富山県側または長野県側の東西からアクセス可能。どちらのルートも電車、ケーブルカーやロープウェイなどの各種交通手段を複数利用する。
インターネットを通じての事前予約制乗車券の購入が可能。※詳細は公式サイトをご確認ください。

<国土地理院地図>

室堂平(立山)


<立山の魅力>

(1)雄大な景観
室堂から見上げると眼前に屏風のように立ち並びそびえる立山連峰の雄姿、稜線からは眼下に望める室堂の壮観なパノラマ風景。「これぞ日本アルプス!」という景観のひとつではないでしょうか。
(2)豊かな自然
黄色、白や青など多彩な高山植物の群生はもちろんのこと、ライチョウも立山の自然の代表といえると思います。運が良ければ室堂のすぐ先すぐそばで会うことができることでしょう。日本で一番簡単にライチョウに出会える場所といっても過言では無いかと思われます。


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩は含まず)
室堂から一ノ越を経て雄山まで上がり、立山連峰を縦走して雷鳥沢に下りて室堂に戻る周回ルート。
室堂→ 一ノ越(60分)→ 雄山(60分)→ 大汝山(20分)→ 富士ノ折立(20分)→ 大走り分岐(30分)→ 別山(70分)→ 別山乗越(30分)→ 雷鳥沢(70分)→ ミクリガ池(60分)→ 室堂(10分)
コースタイム/ 7時間10分程度
標高差/ 600m程度

<登山道の特徴>

一ノ越から雄山まではガレ場・岩場の登りですが、岩稜登山というほど険しくはありません。
雄山の山頂は雄山神社の境内であり拝観料が必要です。
雄山から別山乗越までが立山連峰の縦走になり、ほぼガレ場です。
大汝山や富士ノ折立あたりには狭隘な岩場の箇所もあります。
縦走路(稜線歩き)は進行方向左手(西側)に室堂を見下ろし、同じく右手(東側)に黒部湖を眼下に望むことができます。
富士ノ折立あたりは剱岳の眺めが良いです。
雄山、北側の別山と南側の浄土山を合わせて”立山三山”と一般的に賞されています。
大汝山に休憩所(夏季のみ営業)があり、また比較的開けているので小屋の周囲は休憩適地になります。
富士ノ折立から別山乗越は下り基調の道になります。
別山乗越から雷鳥沢の下り(雷鳥坂)は急傾斜の下りです。
雷鳥沢は室堂より低い地点にあるため、室堂へ戻るためには再び登り上げる必要があります。
大雑把に言いますと、夏期であれば室堂を中心にみくりが池温泉や室堂山荘のあたりまでは観光ゾーンであり登山装備は不要です(歩きやすい靴や服装が望ましい)。季節により積雪等の状況次第で観光できる範囲は異なります。
●水場やトイレなど
水場は室堂以外にありません。
途中の山小屋や茶屋でドリンク類は購入可能です。
トイレは室堂、一ノ越、雄山、大汝山、別山乗越と雷鳥沢にあります。

<難易度・危険箇所など>

大きな難所や危険箇所はほとんどありません。
一ノ越から雄山までのガレ場・岩場は通行できそうなルートがいくつも交錯しています。
夏の早い時期は部分的にルート上に残雪があることもあります。心配な方はチェーンスパイクなどを持参すると安心です。
ガレ場が多いので落石に注意が必要です。
●富山 山のグレーディング
体力度/3 (1→10 低→高)
難易度/B (A→E 低→高)
※室堂~別山の周回コース


<売店等>

一ノ越山荘、大汝山休憩所、剱御前小舎。
そのほか室堂とその周辺の山小屋など。

<日帰り温泉など>

みくりが池温泉
らいちょう温泉 雷鳥荘
雷鳥沢ヒュッテ

<お食事処>

室堂には食堂があります。
大汝山休憩所、剱御前小舎では軽食の提供があります。

<山小屋などの宿泊施設>

室堂を中心にルート上に複数の山小屋やホテル等が点在しています。
参考:
関連お宿リンク (立山黒部アルペンルート)

<付近の山>

剱岳
奥大日岳
薬師岳
五色ヶ原
浄土山

<名産品>

富山ブラックラーメン
白えび

<お天気情報>

立山/山の天気 (tenki.jp)

<そのほかの補足>

みくりが池温泉は「日本一高所の天然温泉」とされています。
山小屋・立山室堂山荘は「日本最古の山小屋」とされており、当時の建屋が記念保存されています。なお現在の宿泊棟は建て直されたものです。
室堂を中心に複数の宿泊施設があります。山小屋からホテルまで各種ありますので、登山や観光など目的に応じてご利用をご検討ください。


<私的な雑感>

アクセス至便で日本アルプスのいいとこどりができる爽快な縦走登山ができる山という感想です。
室堂までは、富山側からでも長野側からでも立山黒部アルペンルート利用でとてもアクセスが便利です。様々な交通機関の乗継ぎが必要になりますが、むしろ乗りもの好きな方には楽しみの多いポイントではないでしょうか。

私のなかで立山といえばライチョウ。立山に行けばたいてはライチョウに出会えました。とくに思い出に残っているのは室堂山荘のすぐそばで親子連れのライチョウの行列に遭遇。目の前をピヨピヨとぎこちなく歩くヒナの姿には癒やされました。

立山に関して何か課題や問題点があるかなーとも考えてみるのですが、頭をひねってもとくに出てきません。室堂であっても日本アルプスの雰囲気を堪能できるまさに非の打ち所がない観光スポットといえるのではないでしょうか(室堂とその周りであれば登山装備は不要)。

とくに近年は北陸新幹線が整備されたことで東京から富山県側へもアクセスがたいへん便利になりました。それ以前は室堂から富山県側へ抜けて東京に戻ろうとすると、長距離バス利用や在来線特急の乗継ぎなどでさすがに身体がシンドイとも思いました。いまや富山県から東京まで2時間程度の新幹線移動であっという間です。強いて難点を挙げればトンネルばかりで車窓の風景を楽しむポイントがあまりないところでしょうか(贅沢な注文ですが…)。

立山黒部アルペンルートを利用するならばやはり黒部ダムもなかなか外しがたい観光スポットと思われます。観光放水のダムの放流はダイナミックで見応え十分です。そういうわけで東京からの場合、往路か復路のどちらかで信濃大町と室堂の間の立山黒部アルペンルートを利用するとより楽しめるのではないかなーと思われます。

日本アルプスの絶景としては、白馬三山縦走や表銀座のパノラマ風景などいつくかあると思いますが、立山の麓・稜線から目にすることができる眺望はその手軽さもあって特筆すべきものとして挙げることができると言えるかもしれません。


<備考>

イワイチョウ (白馬五竜高山植物園)
ライチョウ (Wikipedia)
日本三霊山 (Wikipedia)

<参考リンク>

立山黒部アルペンルート ※公式サイト
中部山岳国立公園 (環境省)
立山黒部ジオパーク ※公式サイト
立山自然保護センター ※公式サイト
山岳情報/富山県警察 (富山県警察)
山と高原地図「37.剱・立山」 (昭文社)
富山県 山のグレーディング (富山県)
富山県上市警察署 (富山県警察)


<バックナンバー>
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(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
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(2023/09/03 上町嵩広)