異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする ~アニメ「あそびあそばせ」の場合
◆概要
【異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「あそびあそばせ」(第4話)
▶1
本作の主要キャラの1人・樋口先生。
彼女はアラサーの女性教師である。現在はとある女子高に勤務している。
ある日、樋口先生が学生時代の友人と数年ぶりに再会した時のこと……。
・Step1:樋口先生と友人たちは久々の再会を喜び、近況報告をしたり、共通の知り合いの話題で盛り上がったりした。
・Step2:しばらくして、友人の1人が言った「じつは私も3年前から女子高勤務なんだけどさ」「うちの学校にね、遊び人四天王の1人がいるの」「今度会わせてあげる」。樋口先生は「わーい!」と微笑んだ。
・Step3:その後、樋口先生たちはアパレルショップを覗いたり、お酒を飲んだりして楽しい時間を過ごした。
・Step4:夜、ほろ酔い加減で帰宅した樋口先生。彼女はベッドに横になる「ふぅ」。そしてふいに真顔になると「……遊び人四天王って何!?」。
▶2
以上、【異変が起こる→しかしキャラは反応しない→しばらく経ってから「……って、さっきのあれは何だったんだ!?」と驚いたり、ツッコんだりする】というコメディシーンをご紹介した。
このシーンの魅力を整理すると……
私たち鑑賞者はStep2で「遊び人四天王って何だよ!?(笑)」と疑問を抱く。ところが樋口先生はそれをスルー!
かくして多くの鑑賞者は、
・1:「なぜスルーした?(笑)」「このままスルーするの?(笑)」などと今後の展開が気になり、画面に釘づけになる。
・2:そしてStep4、樋口先生がようやくツッコみを入れた時には、「やっとかよ!(笑)」「遅すぎるだろ!(笑)」と思わず噴き出してしまったはずだ。
▶3
ところで、Step2で樋口先生が友人の言葉をスルーしたのはなぜだろうか?
作中では特に説明はないのだが、しかしおそらくは……樋口先生は小心者である。よく言えばその場の空気を読んで皆に合わせるタイプ、悪く言えば気が小さくていつもオドオドしている。
ゆえに、友人がさも当たり前のことのように「うちの学校にね、遊び人四天王の1人がいるの」と言った時、「何それ!?」と疑問を呈したりツッコんだりできなかったのだろう。