「見舞いに行っておじやを作る→相手は風邪を引いているので味がわからない→自信があったので悔しい→後日リベンジ」をきっかけとして、相手の家で手料理をふるまうのが常態化する
◆概要
【「見舞いに行っておじやを作る→相手は風邪を引いているので味がわからない→自信があったので悔しい→後日リベンジ」をきっかけとして、相手の家で手料理をふるまうのが常態化する】は「見舞い、看病」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」(第3-4話)
▶1
本作の主人公は、宇崎ちゃん(大学2年生の女性)、そしてその先輩(大学3年生の男性)である。
ある時、先輩が風邪を引いた。
宇崎ちゃんは「よーし、からかってやろ❤」とニヤニヤ。先輩が1人暮らししているアパートを訪問した。
ところが、先輩は意外にも重症だった。
これはからかっている場合じゃないぞ。かくして宇崎ちゃんは看病を開始。薬を買ってきたり、体を拭いてやったり、おじやを作ったりとテキパキ働いた。
▶2
さて、今回注目したいのは「宇崎ちゃんが作ったおじや」である。
・Step1:宇崎ちゃんは料理上手だ。彼女が作ったおじやはいかにも旨そうである。
・Step2:先輩は一口食べて言った「旨い」。宇崎ちゃんは嬉しそうに「でしょー!」。
・Step3:ところが、先輩はこう付け加えた「……正直いま味はよくわからないけど、たぶん旨い」。まぁ、風邪を引いているのだから無理もない。
・Step4:だが、先輩の言葉に宇崎ちゃんは落胆(彼女は先輩のことが大好きだし、料理には自信がある。「最高だよ!」と褒めてもらいたかったのだ)。
・Step5:後日、先輩の家に再び宇崎ちゃんがやってきた。
・Step6:宇崎ちゃんは食材やら調理器具やらを持参しており、手料理をふるまってくれると言う。宇崎ちゃん曰く「先輩が風邪引いた時、おじやを作ったら『味わからない』とか言われたじゃないスか。だから、そのリベンジっスよ!」。先輩は恐縮する「その節は大変申し訳なかった……」。
・Step7:宇崎ちゃんはカレーを作る。先輩は絶賛。宇崎ちゃんは喜ぶ。
・Step8:その後、宇崎ちゃんはちょくちょく先輩の家に遊びにきては手料理をふるまうようになった。
▶3
以上をまとめると……
・1:宇崎ちゃんは看病の一環として料理を作った
・2:しかし先輩は味がわからない。風邪を引いているのだから無理もない。だが、宇崎ちゃんは面白くない
・3:というわけで後日、宇崎ちゃんは再び先輩の家へ。そしてリベンジと称して料理の腕をふるった
・4:これをきっかけに、宇崎ちゃんはちょくちょく先輩の家に遊びにきては手料理をふるまうようになる
重要なのは、【看病の一環として料理を作る → しかし先輩は味がわからない → 後日、リベンジと称して何でもない普通の日に再び手料理をふるまう】という流れだ。
何しろ、宇崎ちゃんは恐ろしくウブで奥手なキャラである。何らかの大義名分がなければ、大好きな先輩に手料理をふるまうことはできなかっただろう。
しかしいま、彼女は「リベンジ」という大義名分を手に入れた!
ゆえに、自然と手料理をふるまうことができた。そして皆さんもご経験があると思うが、どんなことでも一度やってしまえば次からはスムースに始められるものだ。というわけで、宇崎ちゃんはその後ちょくちょく先輩の家で料理を作るようになったのである。
もしも先輩の味覚がおかしくなっておらずおじやを絶賛していたら、「リベンジ」という大義名分は生まれなかった。したがって、「宇崎ちゃんの料理 = 看病の一環 = 非日常のふるまい」で止まっていただろう。