相手に合わせて譲歩したりレベルを下げたりするが、それでもまだダメだった ~ドラマ「グッド・プレイス」(シーズン1)の場合
◆概要
【相手に合わせて譲歩したりレベルを下げたりするが、それでもまだダメだった】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:ドラマ「グッド・プレイス」(シーズン1の第1話)
▶1
本作の主人公は、エレノア(40代の女性)。
ある日、
・Step1:エレノアは事故死した。そして生前善行を積んだということで、「いいところ(the Good Place)≒ 天国」に連れてこられた。
・Step2:ところが、それはミスだった。じつはエレノアは性悪で自分勝手な女。同姓同名の善人と間違われて「いいところ」に案内されたというわけだ。
・Step3:エレノアは考えた。せっかく「いいところ」に来たのだ。善人のふりをしてこのまま居ついてやろう!「悪いところ(the Bad Place ≒ 地獄)」に堕とされてたまるか!!
▶2
ということで、
・Step4:エレノアは「いいところ」で知り合ったチディ(40代の男性)にすべてを打ち明け、そして頼んだ「私が善人になるのを手伝って!」。
・Step5:チディは仰天する。神を騙すようなことを僕に手伝えって!?
しかし、
・Step6:チディは「いいところ」に住む資格を持つ正真正銘の善人である。無下に断ることができない。
・Step7:かくしてチディは苦渋の決断を下した「……きみを助けるよ。しかしその前に、きみがしてきた『いいこと(good thing)』を1つ聞かせてほしい。どんなことでもいいんだ。それを聞けば、僕は気分よくきみを助けられる」。つまり、何か1つでも「いいこと」をしていれば「いいところ」で暮らす資格があると言えなくもない……チディなりに最大限譲歩したのだろう。
・Step8:ところがエレノアは言葉に詰まる「あー……」。そう、何も思いつかないのだ!
気まずい沈黙。
・Step9:やがてチディが言った「……よし、『いいこと』ってのは忘れてくれ。『普通のこと(something neutral )』でいい!」。さらなる譲歩である。
・Step10:エレノアは生前の記憶をたどる。
・Step11:だが、ダメだ!エレノアは「普通のこと」すら思いつかない!彼女は言った「特にないわね」。
・Step12:さすがのチディもこれには動揺を隠せない「えっ……」。普通のことすらしてこなかったってどんな悪人だよ!!
▶3
以上をまとめると、
・1:神を騙す手伝いをしてほしいと頼まれたチディ。彼は苦悩する。 →上記のStep4-5
・2:だが、やがてこう提案した「生前きみがしてきた『いいこと』を1つ教えてくれよ。そうしたら手を貸すよ」。何か1つでも「いいこと」をしていれば「いいところ」で暮らす資格があると言えなくもない……チディなりに最大限譲歩したわけだ。 →Step6-7
・3:ところがダメだ。エレノアは何も思いつかない! →Step8
・4:こうなったら仕方がない。チディは言った「よし、『普通のこと』でいい!」。さらなる譲歩である。 →Step9
・5:だがしかし、これまたダメだ。エレノアは今度も何も思いつかない! →Step10-11
「一体どこまで譲歩すればいいんだよ!(笑)」「エレノアのあまりのダメっぷりにチディが動揺しちゃってるよ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。