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おかしな「励まし・激励・なぐさめ」 ~ドラマ「アップロード 〜デジタルなあの世へようこそ〜」の場合
イングリッド「あなたは親切な人みたいね」「そうそう。私、最低賃金の引き上げには大賛成なのよ」
↓
ノラ「……どうも」
◆概要
【おかしな「励まし・激励・なぐさめ」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:ドラマ「アップロード 〜デジタルなあの世へようこそ〜」(シーズン1の第8話)
▶1
本作の主要キャラの1人・ノラ(若い女性)。
彼女は、とある企業でカスタマーサービス係として働いている。
いろいろあってある日、
・Step1:ノラはイングリッドというお客を訪問した。
・Step2:イングリッドは富豪の娘で、髪型から化粧、服、そして靴に至るまでいかにも金持ちといった雰囲気を漂わせている。
・Step3:ノラとイングリッドが言葉を交わす。
やがて
・Step4:イングリッドが言った「あなたは親切な人みたいね」。彼女はノラを気に入ったらしい。かくして付け加えた「そうそう。私、最低賃金の引き上げには大賛成なのよ」(And just so you know, I totally support raising the minimum wage.)。イングリッドが微笑む。
・Step5:一方のノラは複雑な表情を浮かべて「……どうも」(...Thanks.)。
▶2
イングリッドは、基本的には善人キャラである。
ただし、彼女は生粋のお嬢様。ゆえに――悪気はないのだろうが、「私と皆さんとは生きる世界が違うのよ」「庶民の皆さんは大変ねぇ」と考えていることが言葉の端々から伝わってくる。
改めて上記Step4をご覧いただきたい。
イングリッドはなぜ「そうそう。私、最低賃金の引き上げには大賛成なのよ」なんて言ったのか。
答えは簡単、ノラのことを気に入ったからだ。「ノラは最低賃金で暮らしているに違いない → しかしノラは親切な人だ → 『私は最低賃金の引き上げに大賛成なのよ』と伝えて励まそう」と考えたからだ。
つまりは、イングリッドなりの励ましである。
しかし、ノラからすれば気持ちのいい言葉ではないだろう。
彼女が実際に最低賃金で働いているのかどうかはわからないが、いずれにせよ、「私は最低賃金で働いているように見えるってか!この顔が、この服が、最低賃金の労働者っぽいってか!」「この金持ちめが!」とムカッとしたはずだ。
というわけで――「イングリッドなりの励ましだということはわかるけれど……その言い方はないだろ!(笑)」「ひどい激励だ(笑)」「まるでマリー・アントワネットの『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』みたいなノリだなぁ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
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