
「木から降りられなくなってしまった子猫→子猫を救うべく、危険を承知で地上10mはあろうかという木に登る」というシーンを描く ~アニメ「ストライクウィッチーズ」の場合
美千子「芳佳ちゃん、もういいよ!戻ってきて!」
芳佳「もっ、もうちょっとだから!」「絶対助けるから!」
◆概要
【「木から降りられなくなってしまった子猫→子猫を救うべく、危険を承知で地上10mはあろうかという木に登る」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「ストライクウィッチーズ」(第1話)
▶1
本作の主人公は、宮藤芳佳(中2女子)。
彼女はごく普通の少女である。
第1話冒頭、
・Step1:舞台は芳佳が通う中学校だ。
・Step2:校庭の隅に生徒たちが集まり、何やら不安げな表情で斜め上方を見つめている。
・Step3:その中には美千子(芳佳の親友)の姿もある。彼女は叫んだ「芳佳ちゃん!危ないよー!」。はて、一体何が起きているのだろうか?
じつは、
・Step4:木に登ったはいいものの自力では降りられなくなり、枝の先端で怯える子猫――そんな哀れな子猫を救うべく、芳佳はいま、地上10mはあろうかという木に登っていたのである。
・Step5:嗚呼、危ない!万一落下したらただでは済まないだろう。美千子が再び叫ぶ「やっぱり先生呼んで来ようかー!?」。
・Step6:しかし芳佳は「大丈夫!何とかするから……」。彼女は枝にしがみつき、慎重に、慎重に、先端へ向かっていく。
と、その時だった。
・Step7:芳佳が手を滑らせた。危機一髪!危うく落ちそうになる。
・Step8:美千子は悲鳴を上げる「芳佳ちゃん、もういいよ!戻ってきて!」。だが芳佳は「もっ、もうちょっとだから!」と諦めない。彼女は言った「絶対助けるから!」。
・Step9:その後、枝が折れて墜落しかけたり、先生に見つかって怒られたりしながらも、見事に子猫を救った芳佳だった。
▶2
「動物好きに悪い人はいない」と俗に言う。
実際には「動物好きの悪党」がいれば「動物嫌いの善人」だっているわけだが、しかしどうやら私たちは「動物好き=善人」という印象を抱く傾向にあるようだ。
例えば、独裁国家のクソのごとき元首がじつは犬好きだと判明すると、「おや。あんなに犬をかわいがっているよ。きっとあのオッサンも根は善人なんだよ」なんて好意的に解釈してしまったりする。それほど「動物好き=善人」という固定観念は強いのだ。
というわけで改めて上記シーンを振り返ってみると――哀れな子猫を放っておけず、一秒でも早く助けてやろうと木に登った芳佳。危険は承知している。しかし「絶対助けるから!」。
この動物愛である。
「嗚呼、なんていいやつなんだ!」と芳佳に対して一気に好意を抱いた鑑賞者は少なくないだろう。
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