
「スカッとする!でも後味は悪くない」という物語の作り方!!|【第4話(4) 男子高校生と文化祭3】「男子高校生の日常」を三幕構成で分析する
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分析対象
※本記事で分析するのは「男子高校生と文化祭3」。「3」というタイトルではありますが、他のエピソードとの関連は薄いため、本記事単独でご覧になっても問題ありません。
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:文化祭当日。つまらなさそうに受付をするヨシタケと生島
・第2幕前半:生島が「女は○○よ」「男って□□ね」と、大人の女ぶった発言を始める → だがすぐに、生島が見栄を張っていること、ヨシタケがそれを察していることが明かされる
・第2幕後半:生島の友人がやってくる → 生島はハイテンションで対応
・第3幕:生島が、再び大人の女ぶった発言 → ヨシタケは耐えかね、持ち場を交代してもらう → ヨシタケに代わって、副会長(いかにもヤンキーな見た目!)がやってくる → 副会長を前に、生島が怯える
つまり本話は、「『いけ好かない女に制裁が加えられる』のを見て、スカッできる物語」です。
ポイント②
<1>
さてご注目いただきたいのは、「生島に対する【制裁】が、直接的なものではない」ということです。
だって、「いけ好かない女に制裁を加える」ということであれば、例えば「ヨシタケがぶち切れて生島を引っ叩く」という展開でもいいじゃないですか。
あるいはもっと過激に、「男たちが生島を取り囲み、『男ってものを教えてやるよ』と性暴力に及ぶ」なんて展開だってあり得ますよね。
というか、こうした【直接的な制裁】の方がたぶんスカッ感は強い。
しかし……後味は悪いですよね。
<2>
では本話では、生島にどのような【制裁】が加えられたのか?
・【制裁1】「見栄を張っているだけだ」と見抜かれる:見栄を張っていることを見抜かれる……これは恥ずかしい!しかしヨシタケは、だからといって生島を論破したり、嘲ったりはしません
・【制裁2】ヨシタケに代わって、いかにもヤンキーな副会長がやってくる:副会長は凶悪な顔つきをしています。ゆえに、生島は怯える。しかしこれ、生島が勝手に怯えているだけであり、副会長は生島を脅してやろうとは思っていません。というかこの副会長、じつは外見とは裏腹に善良な人物なのです
「ヨシタケがぶち切れて生島を引っ叩く」「男たちが生島を取り囲み、『男ってものを教えてやるよ』と性暴力に及ぶ」なんて展開とは大違いですよね。
ズバリこれ、【間接的な制裁】と言えるでしょう。
<3>
【間接的な制裁】の長所は、【直接的な制裁】と違って後味が悪くないということです。
実際のところ、本話を鑑賞していて嫌な気分になる人は少ないでしょう。多くの人は、生島の間抜けっぷり・小心者っぷりに噴き出したはずです。
つまり……【間接的な制裁】を採用したことで、本話は「スカッと感はあるが、後味の悪さはない物語」になり得た。
これこそが本話の大きな魅力だと思うんですよ!
何しろ、たいていの人は後味の悪い物語を好みませんからね。
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最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。
(担当:三葉)
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