見出し画像

ほっ、ほっ、本当に赤いコードを切っていいんだよね!?|『クリムゾン・タイド』(2)

画像1


テーマ発表!!


 前回に引き続き、映画「クリムゾン・タイド」をベースに新しい物語を妄想します。

※「クリムゾン・タイド」のストーリーなどについては、前回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 それではまいりましょう!

三葉 はい。

嘉村 「クリムゾン・タイド」は、情報不足の中、外界から隔絶された原子力潜水艦において、核ミサイル発射の賛成派と反対派が争う物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……さて!どんな物語にしましょうか?


案①


三葉 まずは、「クリムゾン・タイド」風の物語を作る時に注意すべきポイントを確認しておきましょう。


画像2


画像3


画像4


画像5


三葉 ……ですね(より詳しくは前回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 それからもう1つ、以下もご覧ください。


画像8


嘉村 なるほど。4つの要素!

三葉 ええ。そして以上を踏まえて「案①」は……ズバリ!「『クリムゾン・タイド』 ~『爆弾を止めろ!』編」です。


画像8


嘉村 爆弾!

三葉 クリムゾン・タイド」と比較すると以下のようになります。


画像8


三葉 ストーリーをご紹介しましょう。主人公は、ごく平凡な男性会社員です。ある日の日中。主人公が会社のトイレで用を足していると……突如激しい物音!さらに悲鳴まで聞こえてきた。主人公は個室のドアをそっと開け、顔だけ出して辺りの様子を伺う。すると右隣の個室のドアが開き、同期のAくんが顔を出した「いま、悲鳴が聞こえたよな?」。一方、左隣の個室からは課長が、さらにその奥の個室からは部長が顔を出した「いまの音は一体何だい?」「きみも聞いただろ?」。

嘉村 男4人がそろって個室から顔を出しているとは……なかなかシュールな光景ですね。

三葉 はて、一体何が起きたのか?ここでネタばらしをしてしまうと……テロリストがビルを占拠したのです。

嘉村 ほぉ!

三葉 テロリストは銃で武装している。彼らは多くの社員を人質に取り、政府と交渉を始めました「オレたちの同志○○を刑務所から解放しろ。さもなければビルを吹き飛ばすぞ。オレたちは自爆も恐れぬテロリストだぜ!」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公ら4人は顔を見合わせる。間もなくここにもテロリストがやってくることでしょう。彼らは慌てて天井裏に隠れました。「どうやら、ワシら4人以外はみな捕まってしまったようだな」「これからどうしましょうか……」「映画やマンガに従うならば、排気ダクトなどに身を潜めつつテロリストを倒して回るのが僕らの役目かと思いますが……」「冗談じゃない!ワシはそんなのご免だぞ!」「部長のおっしゃる通り!」「ですよねぇ……」ということで、息を潜めて救助を待つことにしました。

嘉村 ふむ。

三葉 1時間経つ。暇だ。2時間経つ。喉が渇く。3時間経つ。眠くなってきた。やがて、テロリストの怒鳴り声が聞こえてきた「クソ!政府はオレたちをナメてやがる!交渉決裂だ!」「やっちまおうぜ!」「やろう!」「よし!時限爆弾をセットしろ!」。4人は目を丸くする「時限爆弾!?」。テロリストはビルの構造を確認し、社長室に時限爆弾を仕掛けました。最大限の被害を出すには、社長室がうってつけだったようです。

嘉村 なるほど。

三葉 テロリストは満足げな笑みを浮かべて、社長室を出ていきました。入れ違いに、4人の中で最も身軽な主人公が天井から社長室に降りる。そしてじっくり観察する。うーむ、間違いない。映画やマンガでお馴染みの時限爆弾である。タイマーは1時間後にセットされていました。

嘉村 1時間!

三葉 本物の時限爆弾です!すぐに逃げよう!……が、それは難しい。テロリストの目をかいくぐってビルを脱出するのは至難の業でしょう。それに、同僚を見捨てて自分たちだけ逃げ出すというのは、良心が咎める。

嘉村 確かに。

三葉 となれば、ふむ!爆弾を止めるのだ!……ってどうやって?主人公らは爆弾処理班ではありません。オッサン会社員4人組です。爆弾の処理なぞできる道理がない。

嘉村 でしょうねぇ……。

三葉 部長が鋭く叫ぶ「しからば、警察に連絡を取るしかあるまい!危機が迫っていると伝え、至急救助を要請するのだ」。課長が胡麻をする「おおっ、さすが部長!おっしゃる通りでございます!」「よし、誰か電話をかけなさい」「かしこまりました!不肖この私にお任せを!」……しかし、課長はスマホを持っていませんでした。同様に、主人公もAくんも持っていなかった。部長がこめかみに青筋を立てる「揃いも揃って無能が!」……が、かく言う部長も持っていなかった。

嘉村 ははぁ……つまり主人公らは、トイレにスマホを持ち込む習慣がなかったわけですね。

三葉 ええ、その通りです。

嘉村 ふむ。

三葉 一同絶望する……が、その時です。社長のデスクを漁っていた主人公が、引き出しの中からスマホを発見「ありましたよ!」。部長が破顔する「おおっ、さすがだ!きみはできる男だと思っていたよ!よろしい。ここを出たら、きみを課長に昇進させよう」。課長が慌てる「えっ……えっ!」「フン。きみは降格だ!」。

嘉村 うーむ……。

三葉 主人公はすぐに警察に電話をかけ、事情を説明しました。特別捜査本部の責任者・□□警視が電話口に出る。主人公は尋ねた「救助はまだですか?」「うーむ、率直に言おう。……難航している」「えっ!」「政府は、連中の要求を拒否した。かといって、過激な連中だ。下手に突入すれば人質が危ない。攻めあぐねているよ」「そっ、そんな!時限爆弾の爆発まであと1時間しかないんですよ!」「わかっているよ。そこで、だ。我々は引き続き犯人グループと交渉を続け、突入も検討する。しかしそれが間に合わなかった場合に備えて……電話を替わろう」「……えっ?」。電話口から「もしもし」としわがれた声が聞こえてきた。「はっ、はい……」「ワシは爆発物を処理して50年、『ドクター爆弾解体男』こと△△博士じゃ。ワシに処理できぬ爆弾はなし。大船に乗った気持ちでおるがよい。カッカッカ!」。

嘉村 「ドクター爆弾解体男」って……大丈夫なんですか、その人?

三葉 確かに不安になるネーミングセンスではありますが……しかし大丈夫!腕は確かです。わが国を代表する爆弾処理のプロ。「爆弾の解体なんてのはな、大して難しいことではない。ワシの指示通りに動けば、きみらでも十分対処できるじゃろう。安心せい!」。嗚呼、助かった。主人公らは胸を撫で下ろす。「しからば早速じゃが、ブツを見せてもらおうかの」。テレビ通話に切り替える。博士は映像を見ながら、「ほぉ。××式の爆弾か。なるほど。では、まずは四方のネジを外してもらおうかのぉ。コードには絶対に触れてはならんぞ」などと指示を出す。

嘉村 ふむふむ。

三葉 かくして、爆弾の処理が進みます。そして最後に2本のコードが残った。すなわち……赤いコードと青いコード。

嘉村 あー、よく見るヤツですね!

三葉 「いよいよ仕上げじゃ。いずれかのコードを切断すれば、爆弾は止まる。間違えればブービートラップが作動して……ボン!きみらは四散する」「……」「カッカッカ!大丈夫。任せておきなさい。それでは、いざ参ろう。カメラをもっと爆弾に近づけるのじゃ。ふーむ、なるほどなるほど」……と、その時。スマホから「ピピピッ」と電子音が聞こえた。

嘉村 ほぉ……。

三葉 何事か!?慌てて画面を見ると……嗚呼、これはいかん!電池が尽きかけている!主人公らは、慌てて充電器を探します。しかし見当たらぬ。Aくんがデスクを蹴とばす「あの老害め!機械音痴の社長め!スマホの傍には充電器を常備しておけよ!」。主人公が叫ぶ「博士!時間がありません!赤と青、どちらですか!?」。博士がうなる「ふーむ。これは……赤じゃな!」。4人が叫ぶ「赤!」。「間違いありませんね」「いやいや、待て待て。念のためにもう一度見てみよう」「はっ、博士!時間が!」「これこれ。慌てるでない。画面が手ぶれして見づらいぞ。えーと……こう来て、ああ来て、ふむ。そう来たか。なるほど。これは間違いない!すなわち……あ」。その時、プツリと電池が切れました。主人公ら4人は静まり返る。

嘉村 最後の「あ」というのが気になりますね……。

三葉 そうですね。4人は、その「あ」を巡って争うことになります。部長は、赤いコードを切るべきだと主張しました「博士は、『やはり赤だった。間違いない。赤いコードを切れ』と言おうとしたに違いない。さぁ、赤いコードを切りたまえ!」。

嘉村 ふむ。

三葉 一方、課長は青いコードを切るべきだと主張「お言葉ですが、部長。切るべきは青ですよ。部長もお聞きになったでしょ?博士は『ほぉ、そう来たか』とおっしゃった。『赤だと思ったが、じつは青だった』という意味に違いありません」。

嘉村 なるほど……一理ある。

三葉 Aくんは態度を保留しました「失敗すればボン、ですからね。危険は冒せません。スマホの充電器を探して、改めて博士に確認すべきですよ」。課長が怒鳴る「バッ、バカ!このバカ!『充電器を探す』って、もう探し尽くしたでしょ!」「はぁ、確かにこの部屋には見当たりませんでした。他の部屋を探しましょう」「バババババッ、バカ、バカ、バカヤロー!テロリストと出くわしたらどうするの!その場で射殺される!そんな危険を冒せるか!」「いやぁ、しかし確信が持てぬ中でいずれかのコードを切るのはちょっと……」。部長も、Aくんの意見には反対です「悠長なことを言っている場合か!タイマーを見たまえ。残り20分しかないんだぞ!」「20分あればきっと見つかりますよ」。

嘉村 Aくんは比較的冷静に見えますね。

三葉 そして主人公。彼は提案した「警察を待ちましょう」「……」「コードを切るのも、この部屋から出るのも危険です。ここは我慢の一手ですよ。じっと身を潜める。きっと警察が救助に来てくれる」。課長が叫ぶ「バババババッ、バッ、バッ、バカヤロー!あまりにも楽天的だ!」……とまぁ、4人がそれぞれの意見を主張し、一歩も引かない。多数決をしたり、暴力に訴えたり、あるいは情に訴えたりしますが、なかなか結論は出ない。「案①」はそんな物語です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 つまり、「クリムゾン・タイド」と同じく……情報が不足しているため、誰が正しいのか客観的に判断することができない。しかし、それでも決断を下さざるを得ない。そんな状況に追い込まれた主人公らの物語……というわけです。

嘉村 なるほど。

三葉 以上、「『クリムゾン・タイド』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


続きはこちら!!

---🌞---

関連

---🌞---

最新情報はTwitterで!

---🌞---

 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

いいなと思ったら応援しよう!

100%ツールズ|創作の技術
最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したチップはすべてコンテンツ制作に使います!

この記事が参加している募集