まだ話しているにも関わらず、他のキャラから乱暴に扱われる ~映画「マイティ・ソー」の場合
◆概要
【まだ話しているにも関わらず、他のキャラから乱暴に扱われる】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「マイティ・ソー」
▶1
本作の主要キャラの1人・ダーシー(女性、20代)。
彼女は大学生。
単位取得のために、ジェーンとエリック(2人とも天文物理学者)の手伝いをしていた。
ある夜のこと。
・Step1:3人は、ニューメキシコ州の砂漠で気象観測を行っていた。
・Step2:すると、どこからともなく30歳頃の男が現れた。男は「ハンマーが……ハンマーが……」「父上!ヘイムダル!ビフレストを開けろ!」と訳のわからぬことを叫んでいる。ひどく混乱しているようだ。
・Step3:間もなく、男は3人に問うた「ここはどこだ?アルフヘイムか?ノルンヘイムか?」。
・Step4:3人は警戒する。ダーシーは素早く護身用のテーザー銃(ワイヤー針が飛び出るタイプのスタンガン)を構えた。
・Step5:それを見た男は、ダーシーに向かって「そんな武器でこのソーが怯むとでも……」(You dare threaten me, thor, with so puny a wea…)。とその時だった。男の言葉が終わる前にダーシーが発砲。男に電流が流れる。彼は「あわわわわわ」と呟くと、その場にぶっ倒れてしまった。
・Step6:ジェーンとエリックは仰天。口をあんぐり開けて、ダーシーを見つめた。いくら何でも撃つことないでしょ!?一方、ダーシーは慌てて抗弁した「だって私、脅されたのよ!」。
なお、男の名はソー。変質者や狂人の類ではない。アズガルド(北欧神話に登場する神々の住む世界)の第一王子だ。地球にやってきたばかりでひどく混乱していたのである。
▶2
さて、ご注目いただきたいのはStep5のソーのセリフ。
テーザー銃を向けられた彼は、「そんな武器でこのソーが怯むとでも思っているのか?」(You dare threaten me, thor, with so puny a weapon?)といかめしい口調で語り始めるが……そう、言い終わる前に撃たれ、ぶっ倒れてしまうのだ。
このタイミングが最高だ。
「撃つの早すぎだろ!(笑)」「せめて最後までしゃべらせてやれ!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないはずだ。