おかしな「言い訳・弁解」 ~アニメ「冰剣の魔術師が世界を統べる」の場合
◆概要
【おかしな「言い訳・弁解」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「冰剣の魔術師が世界を統べる」(第2話)
▶1
本作の主人公は、レイ(若い男性)。
彼は世界一の魔術師「冰剣の魔術師」である。魔術はもちろん、身体能力もサバイバル能力も人並外れている。
だがゆえあって、いまはそれを隠し、アーノルド魔術学院のごく普通の新入生としてふるまっていた。
ある日いろいろあって、
・Step1:上半身裸になったレイ。
・Step2:そのすさまじい肉体美を前に、学院の先輩たちは仰天する。彼らは口々に叫んだ「何だ、あのバルクは!?」「デカい!」「いい筋肉だ。見せかけではない。実際に体を動かして身につけた代物だ」。
・Step3:先輩たちの言葉に対して、レイはニヤリと笑ってみせた。そして堂々と言い放った「田舎の森で鍛えたもので!」。……そういう設定なのである。
しばらく後、森の中で実戦形式の訓練を受けることになったレイたち。
・Step4:レイの同級生たちは緊張を隠せない。一方、レイは落ち着き払っている。当たり前だ。何しろ彼は世界一の魔術師で、実戦経験も豊富なのだから。
・Step5:そんなレイに対して同級生が言った「緊張してないみたいだな」。レイは微笑む「もちろんだ。むしろ久しぶりの感覚だな」「田舎出身だからな。森や山を駆け回っていたのさ」。
・Step6:同級生は納得したようなしていないような曖昧な口調で「はぁ……」。
訓練を前に、レイはチームメイトと作戦会議を開いた。
・Step7:チームメイトたちが語り合う「前衛はレイとエディがいいかしら?私が中衛で、後衛がエリサとか?」「いいんじゃないか?」。だがレイは「いや、中衛、遊撃は俺に任せてほしい」「この手の訓練には心得がある」。
・Step8:チームメイトたちは困惑する「この手の訓練に心得があるってどういう……?」。レイは微笑んだ「田舎の森でいろいろとな」。
・Step9:チームメイトたちはまったく納得していない様子で「ふーん……」。
訓練にて大活躍したレイ。
・Step10:訓練後、チームメイトたちがその圧倒的な実力を称賛した。
・Step11:するとレイは微笑んで「田舎の森で魔物とはよく出くわしたからな。この手の対応には慣れているんだ」。
・Step12:その言葉に、チームメイトたちはニヤニヤ笑った「田舎の森、ねぇ……」。
・Step13:レイは動揺、心の中で叫んだ「田舎の森万能理論が疑われている……?話が違いますよ、師匠!」。じつは彼は、「能力が高すぎておかしいと疑われた時には『田舎出身だから』『田舎の森で育ったから』と返事をすればいい。そうすれば相手は納得してくれるさ」と師匠からアドバイスされ、それに忠実に従っていたのだ。
▶2
世界一の魔術師・レイ。彼はごく普通の新入生を装う。そして「能力が高すぎるのでは!?」「強すぎるのでは!?」と疑われた時には、いつも同じ言葉を口にする。曰く「田舎出身だから」「田舎の森で育ったから」。
「お前、言い訳のバリエーションがそれしかないのかよ!(笑)」「あーあ、もう誰も信じてないよ(笑)」「こいつ、田舎の森を何だと思っているんだ?(笑)」「師匠ももうちょっとちゃんと導いてやれ!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。