おかしな「恐怖・怯え」 ~マンガ「邪神ちゃんドロップキック」の場合 #2
◆概要
【おかしな「恐怖・怯え」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:マンガ「邪神ちゃんドロップキック」(第13巻)
▶1
本作の主要キャラの1人・ぴの。
彼女は天使だが……いまは、ゆえあって人間界に滞在中。とあるアパートで住み込みの管理人として働いている。
いろいろあってある日、
・Step1:「神が自分を抹殺しようとしている」という妄想に取り憑かれてしまったぴの。
・Step2:ぴのは怯える。デリケートで神経質な彼女は「いつ殺されるかもしれない」という状況に耐えきれず、発狂寸前である。
・Step3:ぴのは涙を流し、「こわい……死にたくない……」とつぶやくと――恐怖を紛らわすべく、大量の錠剤を服用。さらに太ももの付け根に注射を打った(作中では明言されていないが、精神安定剤や抗鬱剤の類だろう)。
やがて、
・Step4:ぴのは「……ふふふふ」と微笑んだ。
・Step5:薬のおかげで落ち着きを取り戻したのだろうか?――いや、そうではないらしい。彼女は呟いた「恐れる必要などなかった。殺られる前に殺ればいいだけのこと」。
・Step6:その時、玄関のチャイムが鳴った。
・Step7:ぴのは「来た!!」。彼女は恐ろしい形相になってドアを開けると、相手が誰か確かめることもなく「うをー死ねー」。ドアの前に立っていた者の腹に強烈なパンチを叩きこんだ。
・Step8:パンチを食らった者が倒れ込む。それは神ではなくて――ぴのを心配してやってきた彼女の友人だった。
▶2
「神に命を狙われているに違いない」という妄想に取り憑かれたぴの。
彼女は恐怖のあまり発狂寸前だ。大量の薬を使ってどうやら落ち着いたかと思いきや今度は「殺される前に殺せばいい」なぞと言い出し、心配してやってきた友人を神と勘違いして殺しかけてしまった――。
「ムチャクチャだ!(笑)」「これギャグマンガだよね?薬のくだりとかリアルすぎて怖いんですけど!(笑)」「精神安定剤や抗鬱剤に頼る天使ってどうなのよ(笑)」と思わず噴き出してしまった読者は少なくないだろう。
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