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1つのシーン内に明らかな矛盾がある ~アニメ「月刊少女野崎くん」の場合
野崎「あいつ、訊いてほしそうにしてるから何か質問してやってくれ」
◆概要
【1つのシーン内に明らかな矛盾がある】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「月刊少女野崎くん」(第2話)
▶1
本作の主人公は千代。
高2の少女だ。
彼女は、野崎(現役高校生にして人気マンガ家)のアシスタントを務めている。
さて、千代がアシスタントを始めて間もなくのこと。
・Step1:千代は、先輩アシスタントの御子柴と初めて顔を合わせた。「よろしくお願いします」と丁寧に挨拶する千代。
・Step2:ところが……御子柴は開口一番こう言った「先に1つ言っておくぞ。わからねぇことがあっても俺には訊くな。そういう面倒くさいことは嫌いなんだ」。妙に偉そうな物言いである。千代は戸惑う。
・Step3:その後、作業開始。千代はスムースに仕事を進めていく。美術部に所属する彼女は既にひと通りのことがこなせるのだ。
・Step4:一方、御子柴は妙に落ち着かない。チラチラと千代の様子をうかがったり、千代の手が止まるたびに頬を紅潮させたり、かと思いきや千代が作業を再開するとつまらなさそうな顔になったり……。
・Step5:作業に没頭している千代は、御子柴のそんな奇行に気がつかない。だがしばらくして、野崎が千代に囁いた「あいつ、訊いてほしそうにしてるから何か質問してやってくれ」。
・Step6:野崎の言葉に困惑する千代。えっ、どういうこと?……しかしすぐにピンと来た。そう、御子柴はキザでクールなフリをしているが、本当は誰かに頼られたり、何かを教えたりするのが大好きだったのだ!
・Step7:めっ、面倒くせぇ!!千代はイラっとする。だが野崎の頼みとあらば仕方がない。彼女は無理に笑顔を作ると、御子柴に声をかけた「あのぉ。ここのツヤベタがわからなくて」。
・Step8:すると御子柴は「ハァ?そんなんもわかんねぇの!?チッ、しょうがねぇなぁ。貸してみろよ!」。いかにも嬉しそうに、まるで鬼の首でも取ったかのように得意げに説明を始めた。「あー、すごーい」「わー、うまーい」と心にもない世辞を並べ、御子柴に付き合ってやる千代だった……。
▶2
「先に1つ言っておくぞ。わからねぇことがあっても俺には訊くな。そういう面倒くさいことは嫌いなんだ」(Step2)と妙に偉そうに、キザでクールなことを言ったかと思いきや……その直後(Step4)からして態度がおかしい。
そう、彼は本当は誰かに頼られたり、何かを教えたりするのが大好きだったのだ!!
「御子柴の正体を知った千代は『面倒くせぇ!』と顔を歪めるが、まったくだよ。本当に面倒くさい男だ(笑)」「あー、こういう人いるよねぇ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
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