「よーし、いくぞー!」と胸を膨らませて歩き始めたところで車に轢かれかけ、さらにはお嬢様キャラに付き人と勘違いされる
◆概要
【「よーし、いくぞー!」と胸を膨らませて歩き始めたところで車に轢かれかけ、さらにはお嬢様キャラに付き人と勘違いされる】は「記念すべき第一歩目で大失敗」に関するアイデア。
なお、【記念すべき第一歩目で大失敗】とは「主人公級のキャラが『よーし、やるぞー!』と胸を弾ませて歩き始める → 次の瞬間、ひどい目に遭う・遭いそうになる」というシーンのことである。
原則として、①エピソードの序盤に配置され、②読者・鑑賞者を笑わせたり驚かせたりすることで彼らの興味をぐっと惹きつける役目を担う。例えば、胸を弾ませて歩き始めた主人公がいきなり車に激突して吹っ飛んだりしようものなら、たいていの読者・鑑賞者はびっくり仰天、「えっ!この先どうなるの!?」と惹きつけられるはずだ。
◆事例研究
◇事例:アニメ「アサルトリリィ BOUQUET」(第1話)
▶1
「リリィ(人類を脅かす謎の巨大生命体ヒュージと戦う戦士)」に憧れる少女・梨璃。
念願叶って、彼女はリリィ養成機関の1つ「百合ヶ丘女学院」に合格した。かくして第1話冒頭、物語は梨璃が百合ヶ丘女学院にやってくるところから始まる。
・Step1:電車を降り、駅を出て、街を歩く。しばらくすると……あっ、見えてきた!百合ヶ丘女学院の校舎だ!梨璃は胸を膨らませる。そして、「いざ!記念すべき第一歩!」と足を踏み出した。
・Step2:と次の瞬間、車が走ってきて梨璃は危うく轢かれそうになる「うわっ!」。梨璃は慌てて後ずさった。見ると、それはピカピカに磨き込まれた高級車だ。
・Step3:間もなく車のドアが開き、いかにもお嬢様然とした少女が降りてきた。少女は運転手に言う「ドアくらい自分で開けます。今日からは自分の面倒は自分で見なくてはならないんですから」。
・Step4:続いて、少女は梨璃に気がついた「あら、ごきげんよう」。そして微笑むと「あなた、もう帰ってよろしくてよ」。梨璃は訳がわからない「えっ……でも私、いま着いたばかりで……」。
・Step5:少女曰く「わたくし、付き人は必要ないと申し上げたんでしてよ」。梨璃は呆気にとられる。そして叫んだ「つっ、付き人!?違います!私はれっきとした百合ヶ丘女学院の新入生です!」。
▶2
胸を弾ませて歩き始めたところで車に轢かれそうになり、さらにはお嬢様キャラに付き人と間違われる……最高にキャッチーな冒頭シーンと言えるだろう。
私たち鑑賞者は思わず噴き出し、あるいは動揺する梨璃を見て「かわいいなぁ♥」と心をときめかせ、かくして物語に惹き込まれるのである。
なお、梨璃を付き人と勘違いしたお嬢様の名前は楓・J・ヌーベル。彼女も百合ヶ丘女学院の新入生だ。
そしてこの出会いをきっかけに梨璃と楓は親しくなり、やがて2人は互いになくてはならない大切なパートナーとなる。