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「行動を共にしなければならなくなった2人」の物語!!|【三占:仲間と友達、時々ライバル(2)】「うらら迷路帖」を三幕構成で分析する

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分析対象


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三幕構成


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ポイント①


本話のストーリーをざっくり整理すると……

・第1幕千矢の髪の毛と小梅のシャツのボタンがからまってしまう。なかなかほどけない → しかし千矢は髪を切るのが嫌。一方、小梅はボタンを外すのが嫌。ゆえに如何ともしがたい

・第2幕前半:ニナが微笑む「2人は深い絆で結ばれているのかもしれないわね」。小梅はまんざらでもない顔 → 千矢と小梅は、四六時中密着して過ごすことになる

・第2幕後半(1)2人はすぐに疲労困憊。喧嘩一歩手前までいく → 小梅が「どうして髪を切るのが嫌なの?」と問う。しかし千矢は口をつぐんでしまう → 小梅がボタンをむしり取る「千矢のバカ!教えてくれたっていいじゃない。私たち友達でしょ!」

・第2幕後半(2):千矢がハッとする「私たちって……友達なの?」。そして小梅に抱きついた「友達って言ってくれてありがとう!」 → 小梅は赤面。かくして2人は仲直り

・第3幕:千矢が髪を切りたくない理由を告白


ポイント②


<1>

本話は、【ひょんなことから、四六時中行動を共にしなければならなくなった2人の物語】です。

・Step 1:千矢の髪の毛と小梅のシャツのボタンがからまってしまう

・Step 2:2人は常時密着状態を強いられる

・Step 3:アレコレ起こる


<2>

これに類する物語、ちょくちょく見かけますよね。


例えば、「こち亀」の「やっぱりふたりはくさい仲!!の巻」(単行本56巻収録)。両津と部長の手のひらが超強力接着剤でくっついてしまい……というエピソードです。


「東京大学物語」には、村上と遥が手錠で繋がれ24時間ピッタリくっついて行動することになるというエピソードがあります(単行本17巻など)。


そうそう。<手錠で繋がれた2人>といえば、忘れてはならないのが傑作邦画「網走番外地」。主人公の橘は、どうにもソリの合わぬ権田と共に雪原を走り回ります。


<3>

さらに!

【接着剤や手錠などで物理的に離れられなくなったわけではないが、何らかの理由で四六時中行動を共にしなければならなくなったキャラたちの物語】というところまで定義を広げれば、該当する物語は枚挙に暇がありません。


例えば、「新世紀エヴァンゲリオン」の第9話「瞬間、心、重ねて」。シンジとアスカは、使徒を撃破するために共同生活を強いられます。


また、「バディもの」と呼ばれるタイプの映画作品の多くがこれにあてはまるでしょう。「リーサル・ウェポン」「大災難P.T.A.」が有名どころです。


<4>

さて、この手の物語では「価値観が大きく異なる2人/対立関係にある2人」が行動を共にするのが定石です。


そして大体の場合、

・Step 1:2人は「目標達成のためには協力せざるを得ない」という状況に追い込まれる

・Step 2:しかしどうにも相性が悪い!ゆえにアレコレ揉める

・Step 3:次第に情が湧いてくる。でもやっぱり揉める

・Step 4:大事件発生。2人は息ピッタリに行動し、難局を打開する

・Step 5:2人はついにお互いを認め合う。ハッピーエンド♥

……というストーリーを辿ります。


<5>

本話でも、

・Step 1:千矢と小梅が物理的に離れられなくなる

・Step 2:間もなく2人は揉め始める

……と物語が進みます。

定石通りに見える。


しかしですね、これがかなりあっさりしているんですよ。「おっ。2人はここから揉めに揉めるわけだな」と期待して鑑賞していると、「えー!もう仲よくなっちゃうの!?」「もっとぶつかり合わないと、盛り上がらないよ!」と肩透かしを食うほどです

また、そもそも千矢と小梅は価値観が大きく異なるわけでもありません。まぁ千矢は野生児であり独特の感性の持ち主ですが、「両津と部長」「シンジとアスカ」といったコンビに比べれば、千矢と小梅の違いなぞ大したものではない。


つまり本話は、他の物語と比べて起伏が乏しいのです。


<6>

で、問題はここからでして……では本話は面白くないのか、つまらないのかと問われると答えは否。

十分面白いんですよ。肩透かしを食うほどあっさりしているのに、なぜか「物足りない」と感じることがない!

一体なぜか?


たぶんこれ、「百合っぽいシーンがあるから」だと思います。

本話には、<千矢と小梅がイチャイチャするシーン/イチャイチャしているように見えるシーン>が複数盛り込まれています。冒頭の「オープニング」からして、イチャイチャ全開。

私たち鑑賞者は、そんな2人に萌える。思わずニヤニヤしてしまう。ゆえに、ストーリーの起伏が乏しくてもあまり気にならないのでしょう。


というか……むしろ本話の場合、「あっさりしすぎでは?」と感じるいまのストーリーがベストなのでしょう。

もしもいま以上にストーリーの起伏が激しければ(= 2人が激しくぶつかり合うようでは)、鑑賞者から「ストーリーがうるさい!もっと百合シーンを楽しませてよ!」という不満の声があがったのではないかと思われます。


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(担当:三葉)

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