「テーマ」と「構成」が紐づいた物語は美しい！！｜【第十二話（1） 着陸の栄え】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する

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分析対象

三幕構成

ポイント①

＜1＞

本話のストーリーをざっくり整理すると……

・第1幕：望が言う「何事もハードランディングはよくない！」 → いきなり夏休みに突入するのではなく、6月末から少しずつ休みを増やしていくべきだと主張 → 智恵先生が賛同する

・第2幕前半：望が、ソフトランディングを学ぶためのシミュレーターを取り出す → 木津千里が挑戦 → 失敗

・第2幕後半（1）：続いて、可符香が挑戦 → 途中から訳のわからぬ展開になる

・第2幕後半（2）：臼井影郎が主張する「プールなどで女子の水着姿をいきなり見るのはハードランディングです。だから、徐々に薄着になっていただきたい！」 → 木村カエレは上半身だけ、小節あびるは下半身だけ水着になる → 藤吉晴美が叫ぶ「それはむしろハードランディングでしょ！」（= 全身水着になるよりも劣情を刺激する）

・第3幕：智恵先生がやってきて、望の提案が認められたと話す。しかし……ハードランディングを避けるべく、8月中も登校し続けることになったとのこと → 生徒たちは激昂 → 木津千里が望を拷問する。木津千里曰く「ハードランディングはいけません。これは、死へのソフトランディングですよ」

＜2＞

興味深いのは、第2幕（特に第2幕前半）。

ここ、いつもなら、個性的なエピソードが様々紹介されるところです。

日塔奈美や藤吉晴美、小節あびるあたりが「そういえば、○○もハードランディングですよね」なんて語り始めるわけですね。

ところが本話では、ソフトランディングを学ぶためのシミュレーターなるものが登場する。

珍しい展開です（マンネリ防止のための変則展開……？）。

ポイント②

続いて、本話の冒頭と結末に注目してみましょう。

・冒頭（第1幕）：望が「6月末から休み始めるべきだ」と主張 → 智恵先生が賛同する

・結末（第3幕）：智恵先生がやってきて「6月末から休み始める代わりに、8月中も登校することになりました」 → 生徒が激昂し、望は拷問される

ご覧の通り、冒頭のやりとりがきっちり結末につながっている……そう！本話は、唐突なオチ・強引なオチ（= ハードランディング！）とは真逆の【ソフトランディングな構成】なのです。

「ハードランディングの危険性」をテーマにした本話にはぴったりの構成と言えるでしょう。

それにしても……こういった【「テーマ（物語の内容）」と「構成（物語の体裁）」が紐づいた物語】っていいですよね！

美しい！

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（担当：三葉）