「当初の計画が頓挫し、窮地に陥る→しかしそんな中でも、①捨て鉢になることなく前向きで、②協力者を慮った現実的な代替案を考え、③すぐさま実行に移す」というシーンを描く ~特撮ドラマ「ウルトラマンブレーザー」の場合
◆概要
【「当初の計画が頓挫し、窮地に陥る→しかしそんな中でも、①捨て鉢になることなく前向きで、②協力者を慮った現実的な代替案を考え、③すぐさま実行に移す」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:特撮ドラマ「ウルトラマンブレーザー」(第1話)
▶1
本作の主人公は、ゲント(男性30歳)。
彼は、地球防衛隊の「第一特殊機動団」の隊長である。部下を率いて、日夜怪獣と戦っている。
ある日、
・Step1:宇宙怪獣「バザンガ」が出現。東京で大暴れしている。
・Step2:「第一特殊機動団がバザンガに接近し、他部隊の支援を受けつつ特殊弾を撃ち込む」という計画が立てられた。
・Step3:第一特殊機動団の面々が射撃位置に到着。さぁ準備完了だ!……が、土壇場になって作戦は頓挫する。どうやらバザンガの攻撃が予想以上に激しかったらしく、最前線の指揮所は撤退。第一特殊機動団は他部隊の支援を受けられそうにない。これでは特殊弾を撃つことはできぬ。
ゲントたちはやれやれといった感じで肩をすくめた。
・Step4:一方、今回が初任務となる新人隊員は取り乱す「えっ……じゃあ俺たちが来た意味は!?」。
・Step5:ゲントは落ち着いた口調で言った「まぁアレだ。上からの命令には逆らえないからな」。
・Step6:新人は唖然とする「そんな……」。せっかくここまで来たのに!というか、特殊弾を使わずしてあの怪獣を倒せるのか?特殊弾こそが希望の光では!?
・Step7:無論、ゲントだって想いは同じである。
というわけでゲントは、
・Step8:バザンガと交戦中の戦闘機のパイロットに連絡を入れた(戦闘機のパイロットはゲントの部下ではない。別の部隊の隊員である)。
・Step9:ゲントは明るい口調で言った「そろそろきみらも弾切れだよね?」「どうせこのまま撃ち尽くすんだったら、ちょっと、ちょ~っとだけでいいから、俺たちがいるビルの方にバザンガ誘導してくれないかな?できる?」。
・Step10:パイロットは、ゲントの提案を受け入れてくれた。戦闘機が誘導してくれるならば、特殊弾を撃ち込むことができるだろう。第一特殊機動団の面々は発射準備に移る。さぁやるぞ!
▶2
ご注目いただきたいのは、ゲントの言動である。
作戦がふいに行き詰ってしまった。このままでは撤退するしかない。だが、それでいいのか?せっかくここまで来たのに?というか、特殊弾こそが希望の光ではないのか!?
……追い込まれたゲント。この時、彼は何をしたか?
ゲントは、作戦が予定通りに進まないからといって諦めたりはしない。
癇癪を起こすこともない。
上層部を批判することもない。
かといって、「こうなったら突撃あるのみ!」なんて叫んで自分や部下の命を危険に晒すこともない。
「やい、協力しろ!これは正義のためだ!」だの「命令なんて無視しろ!」だの「クビを覚悟して戦え!」だのと言って、他部隊の隊員を困らせることもない。
彼は「どうせ撃ち尽くすんなら、ちょっとだけでいいんだけど、こちらに誘導するように撃ってくれないかな?」と依頼した。パイロット(=他部隊の隊員)に迷惑がかからない程度の依頼、ほんのちょっとだけ協力してほしいという依頼だ。
窮地に陥った時にも前向きで、そして協力者を慮った現実的な代替案を考え、すぐさま実行に移せるゲント――「カッコいい!」「こんな人の下で働きたい!」と好意を抱いた鑑賞者は少なくないだろう。
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