
「送電線工事の作業員が店に入ってきた→直後、作業員にしては手がきれいすぎる、敵の変装に違いないと見抜く」というシーンを描く ~映画「イコライザー」の場合
マッコール「(ふいに)あんた1人か?仲間が来るのか?」
送電線工事の作業員らしき男「……えっ?何だって?」
↓
マッコール「あんたの両手。送電線の業者ならそんなきれいな手はしていない」
◆概要
【「送電線工事の作業員が店に入ってきた→直後、作業員にしては手がきれいすぎる、敵の変装に違いないと見抜く」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「イコライザー」
▶1
本作の主人公は、マッコール(50歳くらいの男性)。
彼は一見するとごく普通のオッサンである。ホームセンターの気のいい店員にしか見えない。
しかしじつは――かつては海兵隊および国防情報局に所属し、凄腕の工作員として知られていた。年を取ったとはいえ、いまも常人離れした能力を各種持ち合わせている。
ある夜、
・Step1:マッコールが行きつけの食堂で読書をしていた時のことだ。
・Step2:1人の男が店に入ってきた。作業着にヘルメット――格好からして送電線工事の作業員のようだ。
・Step3:男は「とりあえずコーヒーと、あと卵サンド、ロールパン。チーズ抜きで頼む」と注文すると、マッコールから少し離れた席に腰かけた。
間もなく、
・Step4:マッコールが唐突に口を開いた。彼は男を一瞥だにせずに「あんた1人か?仲間が来るのか?」。
・Step5:男が訊き返す「……えっ?何だって?」。
・Step6:マッコールは相変わらず視線を本に落としたまま、「あんたの両手。送電線の業者ならそんなきれいな手はしていない」。
・Step7:直後、男は笑い出した「ハッハッハッ」。そして「クソったれが!」。――そう、この男の正体はロシアンマフィア。とある事情でマッコールに恨みを抱いた組織が、マッコールに制裁を下すべく送り込んできたのだった。
▶2
ご注目いただきたいのはStep4と6である。
嗚呼、この観察眼!
しかも、視線を本に落としたままでいつの間にやら相手の手を観察していたというのがまた格好いい。
「さすがは元工作員!」「超クールだ!」「私もこんな観察眼を身に着けたい!」などと、マッコールに好意を抱いた鑑賞者は少なくないだろう。
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