中二病キャラには中二病っぽい名前を、「現実」と「妄想」を自由に行き来できるキャラには両方の雰囲気を併せ持つ名前を与える
◆概要
【中二病キャラには中二病っぽい名前を、「現実」と「妄想」を自由に行き来できるキャラには両方の雰囲気を併せ持つ名前を与える】は「キャラの名前、ニックネーム」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「中二病でも恋がしたい!」
▶1
本作には4人のヒロインが登場する。4人の共通点は名前が独特ということだ。
・小鳥遊 六花(たかなし りっか)
・丹生谷 森夏(にぶたに しんか)
・五月七日 くみん(つゆり くみん)
・凸守 早苗(でこもり さなえ)
うーむ、じつに個性的。姓も名もすごいことになっている。
▶2
はて、制作者は一体どうしてこんな名前を与えたのか?
理由は明白だろう。
・六花、凸守:現役バリバリの中二病
・森夏:現在はリア充っぽい顔をしているが、じつはつい最近まで重度の中二病だった。いまもふとした瞬間にそれっぽい言動が垣間見える
・くみん:強烈な天然キャラ、もしくは不思議ちゃん。中二病とは無縁だが、しかし他の3人に負けず劣らずの濃いキャラである
そう、4人は普通の人とはちょっと違う(いや、だいぶ違う)。
普通の中高生が「現実:8、妄想:2」くらいのバランスで生きているとすれば、彼女たちはその割合が逆転しているのだ。
そして、そんな彼女たちだからこそ「小鳥遊」だの「森夏」だのといった、いかにも中二病っぽいすさまじい名前が与えられているのだろう。要するに名は体を表すというやつである。
▶3
ところで4人の名前を改めて見ると、1人だけ仲間外れがいることに気づくだろう。
「凸守 早苗」である。
姓はいいとして名の方……六花、森夏、くみんと比べて早苗だ。明らかに普通!中二病くささが足りぬではないか!!なぜ!?
じつは、これにもちゃんと意味がある。
当初、凸守は中二病丸出しのキャラとして登場した。うるさいほどの中二病。作中随一の中二病っぽいキャラだった。
ところが第9話以降、意外な一面が明かされていく。彼女は学年一の優等生だった。クラスでは友達から頼りにされていた。そして富豪の令嬢だった。
……つまりだ。いつでもどこでも中二病の六花、24時間365日天然ボケのくみん、そしてリア充ぶっているが隙あらば中二病的な本性が漏れ出てしまう森夏とは根本的に異なる。凸守は「『現実世界』と『妄想世界』を自由に行き来してその両方で充実した生活を送る者」だったのだ。言わば「越境者」である。
そして、そんな彼女だからこそ、「凸守 = 中二病ネーム」と「早苗 = 普通の名前」を併せ持っているのだろう。そう、これまた名は体を表すというやつだ。
▶4
ちなみに第11話。ひょんなことから、六花が脱中二病を決意する。その時彼女は、凸守を「凸守」ではなく「早苗ちゃん」と呼ぶ。
これ、【脱中二病する → 友達を中二病ネームではなく、普通の名前で呼ぶようになる】という象徴的なシーンである。