見出し画像

「キャラAが、Bにお揃いのパスケースをプレゼントする→後日、AとBがバス停に立っている。バスがやってきてBだけが乗る。Aは取り残される」という展開を通じて、Aは「いつまでもBと一緒にいたい/共に進んでいきたい」と願っていたが、しかしいま、「Bだけが前進し、自分は取り残されている」と感じていることを暗示する ~アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の場合

歩夢「私はスクールアイドルやってみたい!」「私の夢を一緒に見てくれる?」
侑「もちろん!いつだって私は歩夢の隣にいるよ」

アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(第1話)




◆概要

【「キャラAが、Bにお揃いのパスケースをプレゼントする→後日、AとBがバス停に立っている。バスがやってきてBだけが乗る。Aは取り残される」という展開を通じて、Aは「いつまでもBと一緒にいたい/共に進んでいきたい」と願っていたが、しかしいま、「Bだけが前進し、自分は取り残されている」と感じていることを暗示する】は「キャラの感情などを暗示する」ためのアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」(第1-11話)

▶1

本作の主要キャラの1人・歩夢(「あゆむ」と読む、高2女子)。

彼女には幼馴染がいる。侑だ。


歩夢は侑のことが大好きだ。

・Step1:幼い頃からずっと一緒にいたし、これからもずっと一緒にいたいと考えている。というか、「ずっと2人で一緒にいる」のが当然のことだと思っていた

・Step2:第1話終盤、歩夢はスクールアイドルになることを決意し、侑に打ち明けた「じつはスクールアイドルやってみたいんだ!」。――歩夢はパスケースを2つ取り出した。先日購入しておいたお揃いのパスケース。1つは歩夢のもの。そしてもう1つを侑に差し出すと「私の夢を一緒に見てくれる?」

・Step3:侑は笑顔でパスケースを受け取り、「もちろん!いつだって私は歩夢の隣にいるよ」

・Step4:というわけで、歩夢は新人スクールアイドルに、侑はそれを支えるファン第1号兼マネジャーになった


ところが――。

・Step5:第2話、2人は高校のスクールアイドル同好会に加入した。

・Step6:そして、社交性に優れ、かつ皆の能力ややる気を引き出す才能に恵まれた侑は、いつの間にやら「歩夢専属のファン兼マネジャー」から「同好会に所属するスクールアイドル全員のファン兼マネジャー」になっていった。

・Step7:歩夢は戸惑う。えっ……。

・Step8:一方、侑は素晴らしいスクールアイドルたちに囲まれて充実した日々を送る。


さらにその後、

・Step9:侑は他校のスクールアイドルを巻き込んだ巨大イベントにも携わるようになる

・Step10:第11話序盤、バス停。歩夢と侑が2人で雑談している。そこにバスがやってきた。しかし――バスに乗るのは侑だけだ。今日は他校生と打ち合わせがあるとのことで、バスで去っていった。

・Step11バス停に取り残された歩夢。彼女は視線を足元に落とした。そして口には出さぬが――心の中で叫んだ。侑ちゃん、どこにも行かないでよ!私だけの侑ちゃんでいてよ!2人で変わらぬ日々をすごそうよ!そう、歩夢は「侑が遠くに行ってしまう」「2人の間に距離ができてしまう」と感じ、動揺しているのだった。


▶2

ご注目いただきたいのは、Step2と10である。

・Step2では:歩夢が、お揃いのパスケースを侑にプレゼントする。なお、パスケースに入れるものといえば交通系ICカード。つまりは<移動>に使うものだ →「いつまでも侑と一緒にいたい/共に進んでいきたい」と歩夢が願っていることの象徴

・Step10では:歩夢と侑がバス停に立っている。そこにバスがやってきて、侑だけが去る。歩夢は取り残される →「侑だけが前進し、自分は取り残されている」と歩夢が感じていることの象徴


つまりは、【「キャラAが、Bにお揃いのパスケースをプレゼントする→後日、AとBがバス停に立っている。バスがやってきてBだけが乗る。Aは取り残される」という展開を通じて、Aは「いつまでもBと一緒にいたい/共に進んでいきたい」と願っていたが、しかしいま、「Bだけが前進し、自分は取り残されている」と感じていることを暗示する】というテクニックである。


◆他のアイデアも見る👀

いいなと思ったら応援しよう!

100%ツールズ|創作の技術
最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したチップはすべてコンテンツ制作に使います!

この記事が参加している募集