キャラの個性を反転させる!!|【第六話(2) 夢無し芳一の話】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:望が夢を見る→ 望曰く、夢の中なので何が起きても問題ない!
・第2幕前半:「存在感抜群の臼井影郎」や「まったく『普通』ではない日塔奈美」など、<現実>とは真逆のキャラと化した生徒たちが登場する
・第2幕後半:超ネガティブ少女と化した可符香が訊く「先生が目を覚ましたら、私たちは消えてしまうんですよね……?」 → 生徒たちは、望が二度と目を覚まさぬよう殺してしまおうと企む
・第3幕:望は急いで目を覚まし、「すべては夢でした! = 夢オチ」にしようと考える → しかし、なかなか目が覚めない → 可符香が言う「夢オチといえども、オチはオチ。『オチ』がないと目は覚めませんよ」 → 望はどうにかオチをつけようと奮闘する → やがて目を覚ます → だが、そこもまた夢の中だった
ポイント②
<1>
「さよなら絶望先生」シリーズには、ユニークな生徒がたくさん登場します。
彼らの個性が物語を盛り上げる……のですが、本話はそんな生徒たちの個性が反転するエピソードです。
具体的には、
・例1:いつでも超ポジティブな可符香 → 超ネガティブ少女に変身
・例2:存在感と頭髪の薄さに悩む臼井影郎 → イケイケ&モテモテに変身
・例3:何をやっても「普通・人並み」になってしまう日塔奈美 → 狂人に変身
この反転具合こそが、本話の見どころです。
「超ネガティブな可符香だと!?」「臼井影郎がカッコよくなってる!」というように、私たち鑑賞者はいつもとは違うキャラの姿を楽しむのです。
<2>
なお、本話に近しいエピソードとしては、第1期の「第五話(2) あら、昨今カットされがちなシチュエーション」があげられます。
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(担当:三葉)