大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない) ~テレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」(シーズン4)の場合
◆概要
【大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない)】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:テレビ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」(シーズン4の第1話)
▶1
シーズン4の第1話に「気球の黄金時代(The Golden Age of Ballooning)」と銘打たれたスケッチ(コント)がある。
以下、その一部をご紹介する。
舞台は18世紀のフランス。
とある邸宅に1人のお客がやってきた。
・Step1:執事が取り次ぐ「ご主人様、パーフィット様(Mr. Parfitt)がお越しになりました」。
・Step2:しかしすぐにお客が訂正した「いや。私はバートレット(Bartlett)です」。
・Step3:執事はハッとした表情になり、「あっ。バークリット様(Mr. Barklit)でした」。お客が再び訂正する「いえ、バートレット(Bartlett)です。『ク』ではなくて『ト』」。
・Step4:執事が言い直す「バーラット……エレット様(Mr. Barrat... elett)です」。またもやお客が指摘した「バートレット(Bartlett)です」。
・Step5:執事が言う「バーキット(Barkit)……」。お客が訂正する「バートレット(Bartlett)!」。
・Step6:とまぁ散々苦労した挙句、ようやく執事は言った「バートレット様(Mr. Bartlett)がいらっしゃいました」。
・Step7:すると主人はこう言った「いまは誰にも会いたくない」。執事は「かしこまりました!」。即座にお客を追い出した。
▶2
以上をまとめると、
・1:何度も何度も名前を間違われる哀れなお客(Step1-5)
・2:ようやく主人に話が通り、「ふぅ。これで面会できるぞ」とホッとしたのも束の間……(Step6)
・3:主人は「会いたくない」。かくしてお客は即座に追い出されたのだった(Step7)
「さんざん名前を間違え、延々と待たせておいてそれかよ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。
まさにこれ、【大山鳴動して鼠一匹(さんざん大騒ぎしたわりに、結果が呆気ない)】式のコメディである。
▶3
なお、特にご注目いただきたいのはStep7だ。
じつはここ、【主人が「いまは会いたくない」と言うと → 執事はやたら早口で「かしこまりました!」 → そして走るようにその場を立ち去り、お客を追い出した】とスピード感あふれるシーンなのだ。
Step1-6では延々と名前を間違えるという「マンネリ一歩手前の緩い展開」が続いたのに対して、この「急展開」である。
これがいいのだ。
めちゃくちゃ緩急が利いており、爆笑必至である。
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