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やがてヒーローになる者は、「頭が柔らかい・発想が柔軟」 ~映画「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」の場合
上官「17年間誰も成功していないんだ」
◆概要
【やがてヒーローになる者は、「頭が柔らかい・発想が柔軟」】は「ヒーローものの設定・展開」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」
▶1
本作の主人公は、スティーブ・ロジャース(男性、20代後半頃)。
彼はスーパーヒーロー「キャプテン・アメリカ」の中の人だが……しかし、生まれつき超人だったわけではない。本作前半、彼がキャプテン・アメリカになるまでの経緯が描かれる。
第2次世界大戦中のことだ。
・Step1:スティーブは「国を守りたい!」「戦争を終わらせたい!」と考え、軍への入隊を志願した。ところが生まれつき体が貧弱だったため、拒否されてしまう。
・Step2:絶望するスティーブ。しかしひょんなことから、彼は「スーパーソルジャー計画」(「超人兵士」を科学的に生み出す人体実験)の候補生として陸軍に入隊することになった。
・Step3:スティーブは、他の候補生と共に厳しいトレーニングや試験に挑戦。やがて、「体こそは貧弱だが、しかしそのハートや頭脳は素晴らしい!彼こそが世界を救うスーパーソルジャーに相応しいだろう!!」と認められ、スーパーソルジャー計画の最初の被検者に選出された。
・Step4:かくしてスティーブには「超人血清」が打たれ、「ベータ線」が浴びせられ、間もなく彼は超人的な肉体を手に入れたのだった。キャプテン・アメリカの誕生である!
▶2
さて、今回ご注目いただきたいのは上記のStep3。
ここにこんなシーンがある。
・1:厳しいトレーニングを受ける候補生たち。世界を救う超人兵士の候補というだけあって、筋骨隆々のいかにも逞しい青年が集まっている……スティーブ以外は。スティーブは頑張る。腕立て伏せも匍匐前進もマラソンも、精一杯頑張る。しかし、何をやってもドンケツだ。
・2:そんなある日、上官がポール(旗竿)に掲げられた旗を指さしてこう言った「あの旗を取れる者はいるか?」。
・3:候補生たちは我先にポールに飛びかかり、よじ登ろうとした。しかしダメだ。ポールは滑る。ちっとも登れない。上官が嘆く「17年間誰も成功していないんだ。お前たちもダメか」「もういい。ポールから離れろ!」。
・4:そんな中……スティーブはゆっくりとポールに近づいていった。そして、ポールを地面に固定していた部品(ビスのようなもの)を外した。がくん、ポールが地面に倒れる。かくして皆が唖然とする中、彼は悠々と旗を手に取ったのだった。
▶3
これ、「スティーブの頭の柔らかさ」を強調するシーンである。
つまり物語序盤に「やがてヒーローになる者の頭の柔らかさ」を強調するシーンが配置されているわけだが、はて、なぜわざわざそんなシーンが用意されているかというと……
・メリット1:私たちは、頭が柔らかくて柔軟な発想をするキャラが大好きだ。予想外の方向からズバッと問題を解決する姿はじつに格好いい。 →鑑賞者がスティーブに対して好意を抱くきっかけになる
・メリット2:「他の誰よりも頭が柔らかい」ということは「他の人とは考え方が違う」ということである。したがって多くの鑑賞者は、「彼は特別だ!」「彼こそがスーパーヒーローに相応しい!」と感じたことだろう。 →「スティーブがスーパーソルジャー計画の最初の被検者に選ばれ、やがてヒーローになる」というストーリー展開を、鑑賞者がスムースに受け入れられるようになる
・メリット3:「これほど頭が柔らかい彼のことだ。これからどんな活躍を見せてくれるのか、どんな騒動を巻き起こすのか、じつに楽しみだ!」とワクワクした鑑賞者は少なくないだろう。 →鑑賞者が物語に没入するきっかけになる
そう、「やがてヒーローになる者の頭の柔らかさ」を強調するシーンには、これだけのメリットがあるのだ。
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