おかしな「励まし・激励・なぐさめ」 ~アニメ「あそびあそばせ」の場合
◆概要
【おかしな「励まし・激励・なぐさめ」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:アニメ「あそびあそばせ」(第7話)
▶1
本作の主人公の1人・オリヴィア(中2の少女)。
彼女は金髪碧眼の美少女だが……しかし、じつはワキガである。
それも相当に重症なようで、作中のキャラ曰く「教室にいれば皆気づくレベル」。つまり、周囲の人は誰もがワキガに気づいている。
だがしかし、それは思春期の女の子にはあまりにも残酷な現実だ。ゆえに「きみ、ワキガだよ」と指摘できる者はいない。かくして、オリヴィア本人だけがワキガに気づいていないのだった。
ところがある日……
・Step1:ひょんなことから、オリヴィアは気づいてしまった。自分がワキガだということに!そして、皆がそれに気づいていたということに!オリヴィアはショックを受ける。顔を真っ赤にしてぷるぷる震える。
・Step2:友人の華子が必死に慰めた「オリヴィア……でもさ、大丈夫だよ。環境省が発表している臭気指数規制ガイドラインから考えると放置して大丈夫なラインの数値だから……だから、全然大丈夫だよ!」。
・Step3:友人の香純も「オリヴィアさん、私もそんなに気にしなくても大丈夫だと思います。そういうニオイが大好きっていう紳士もいますし。あと、それに……」
・Step4:華子と香純が優しく微笑む。そして言った「私たちはもう慣れました❤」。
・Step5:オリヴィアはハッとする。彼女は嬉しそうに微笑むと、華子と香純に抱きついた「2人とも大好き……!」。
・Step6:かくして友情を再確認した3人は、その後連れ立ってアイスクリームを食べにいったのだった。
▶2
さて、一見すると「問題はすべて解決した!さぁ、アイスクリームでも食べにいこうぜ★」というハッピーエンドに見えるのだが……うーむ。華子と香純の励ましは、これ、本当に励ましになっているのだろうか?
だって……
・Point1:華子は「環境省が発表している臭気指数規制ガイドラインから考えると放置して大丈夫なラインの数値だから」と言うが、そもそも「臭気指数規制ガイドライン」というのは工場から排出されるアンモニアなどの悪臭が一般市民の生活に悪影響を及ぼすのを防止するために作られたルールであって、それをワキガに援用するということはむしろオリヴィアの腋が工場並みの悪臭を発しているということになり……。
・Point2:一方、香純は「大好きっていう紳士もいます」と言った。なるほど、世界は広い。確かにそういう人もいるだろう。……が、そんな特殊な性癖の持ち主に好かれてオリヴィアは嬉しいのだろうか?
・Point3:さらに、「私たちはもう慣れました❤」との言だが、逆に言えば「慣れる必要があるほどにはっきりとした悪臭である」ということになるだろう。
つまりこれ、【オリヴィアがショックを受ける → 華子と香純が必死に励ます → しかしピントがズレている → ところがオリヴィアは2人の言葉に違和感を抱くことなく、素直に励まされる → ハッピーエンド❤】というコメディシーンなのだ。面白い!
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