「論理の飛躍」は武器になる!!|【第四話(2) 恥ずかしい本ばかり読んできました】「【俗・】さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
▶ 「三幕構成」を詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ👽 → シド・フィールドの「三幕構成」をバッチリ説明するぜ!!
分析対象
三幕構成
ポイント①
本話は、「読書家・天才ストーリーテラーの少年 = 久藤准」を中心に据えたエピソードです。
久藤准は、女子生徒ばかりが目立つ「さよなら絶望先生」シリーズにあって数少ない「主役を張れる男子生徒」の1人。
久藤准と同程度に活躍する男子生徒は、臼井影郎くらいなものです。
※臼井影郎が活躍するエピソードの例 → その存在感の薄さ、妖精級!!|【第八話(1) 私は宿命的に日陰者である】「さよなら絶望先生」を三幕構成で分析する
ポイント②
<1>
本話のストーリーをざっくり整理すると……
・第1幕:久藤准が言う「世界中のありとあらゆる本を読んでみたいんだ」 → 望が疑心暗鬼になる「私の心も読む気ですね!?」
・第2幕前半:望は、心を読まれまいとして無心になろうと努める
・第2幕後半:久藤准が即興で物語を作る → 望らが感動 → 望はより一層警戒心を強める「これだけ心を掴むとは……やはり心を読めるに違いありません!」
・第3幕:さらに望は「この話のオチも読みましたね!?」 → 望は「絶対に読めないオチにしてやる!」と言って、意味不明な行動に出る
<2>
ご注目いただきたいのは、【論理の飛躍】です。
・飛躍1:読書家なら、他人の心を読めるに違いない(第1幕)
・飛躍2:天才ストーリーテラーなら、他人の心を読めるに違いない(第2幕後半)
・飛躍3:天才ストーリーテラーなら、このエピソードのオチを読めるに違いない(第3幕)
考えてみると、これ、いずれもムチャクチャな理屈です。
だって、「読書家/ストーリーテラー」であることと「他人の心を読む能力/エピソードのオチを読む能力」を持っていることの間には、何ら関係はありませんからね。
無関係のものを強引に結びつけ、まるで因果関係があるかのように語る……まさに【論理の飛躍】です。
<3>
【論理の飛躍】にはメリットがあります。
ズバリ、物語にスピード感が出る!
例えば第1幕では、「久藤少年は読書家です」というキャラ紹介後、「私の心を読む気ですね!?読ませませんよ」というところまで一挙に物語が進む。
このスピード感!
物語がグングン進み、二転三転する。
ゆえにダレない。鑑賞者は飽きることがありません。
「【論理の飛躍】を活用することで物語にスピード感を出し、鑑賞者・読者を飽きさせない」というこのテクニック……みなさんもぜひ使ってみてくださいねー!!
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(担当:三葉)