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「刃物を持った男が2人、路上で喧嘩をしている→そこに通りかかったのが、携帯電話で通話中の刑事→彼は通話を続けながら平然と男たちに近づき→まずは1人をぶちのめし→次いでもう1人もあっさり降伏させた」というシーンを描く ~映画「犯罪都市」の場合
ソクト「来いよ、早く!包丁寄こせ」
◆概要
【「刃物を持った男が2人、路上で喧嘩をしている→そこに通りかかったのが、携帯電話で通話中の刑事→彼は通話を続けながら平然と男たちに近づき→まずは1人をぶちのめし→次いでもう1人もあっさり降伏させた」というシーンを描く】は「読者・鑑賞者に好かれるキャラ、共感されるキャラ、応援されるキャラ」を作るためのアイデア。
◆事例研究
◇事例:映画「犯罪都市」
▶1
本作の主人公は、マ・ソクト(中年男性)。
彼は韓国の刑事である。そして――笑ってしまうほどに強い。悪党どもをぶちのめしていく。
ソクトの人間離れした強さは、物語初っ端から強調されている。
ここでは、彼の初登場シーンをご紹介したい。
物語冒頭、
・Step1:男2人が路上で喧嘩をしている。双方が刃物を持っており、大変危険な状況だ。
・Step2:と、そこに通りかかったのがソクト。彼は携帯電話で誰かと話をしている。
ソクトは猛ることもなければ慌てることもなく、
・Step3:落ち着いた口調で通話を続けながら群衆をかき分け、平然と男たちに近づいていった。
・Step4:そしてまずは片方の男に近寄ると、おもむろにその手首を掴み――何食わぬ顔でねじ上げた。
・Step5:直後、男が悲鳴を上げる「あああっ!」。抵抗しようとするが無駄だ。彼は刃物を地面に落とし、その場に崩れ落ちた。
もう片方の男が目を見開く。なっ、何が起きているんだ!?
・Step6:まぁ無理もあるまい。ついさっきまで向き合っていた喧嘩相手が、突如現れた謎の男にあっさりやられてしまったのだから。しかも、その男は相変わらず通話相手と日常会話を続けているのだ。そりゃ驚くだろう。
・Step7:呆気に取られる男。
・Step8:間もなく、ソクトは男を睨みつけた。そして「来いよ、早く!包丁寄こせ」――俺は忙しいんだからさっさと降伏しろよな、ったく面倒かけやがってという感じの口調で言った。
・Step9:男はもう言いなりだ。完全にソクトに圧倒されている。彼はおずおずと包丁を差し出した。
・Step10:ソクトは包丁を受け取ると、地面に放り投げた。そして「いや、何でもない。喧嘩の仲裁だ」と通話相手に事情を説明。さらに、駆けつけてきた警官たちに「ボーっと見てないで早く片付けろ」と指示し、そのまま去っていった。
▶2
ソクトは、刃物を持った者同士の喧嘩にも一切動揺しない。彼は平然と近寄り、あっさり解決してしまう。
しかも、携帯電話で通話を続けながらだ。
さらに、通話相手に「喧嘩の仲裁をしているんだ」と説明する余裕まである。
「強すぎだろ!(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないと思う。つい先ほどまでカッカしていた男があっという間に言いなりになるのも納得の圧倒的な強者っぷりである。
そして――この「圧倒的」というのが重要だ。
中途半端ではいけない。
他を寄せ付けない圧倒的な何か。読者・鑑賞者が笑ってしまうほどの圧倒的な何か。
圧倒的に頭が回る。圧倒的にスポーツが得意。圧倒的にモテる。あるいは、圧倒的に強い。何でもいいのだが、とにかく私たちは圧倒的に優れているキャラが大好きだ。「格好いいなぁ!」「もっと見ていたいなぁ!」と惹かれずにはいられない。
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