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食パンダッシュ ~アニメ「バカとテストと召喚獣」の場合

明久「それ、いらないの?」

アニメ「バカとテストと召喚獣」(第3話)


◆概要

【食パンダッシュ】とは「食パンなどをくわえて走って登校するシーン」のこと。多くの作品に描かれるストックシーンである。なお、様々なバリエーションが存在するが、その大半は以下のいずれかに該当するようだ。

・パターン1「非現実的なほどハッピーな日常」を象徴するシーンとして描かれる。主にダークな作品において、そのダークさを際立たせるのが目的だ。

・パターン2コメディシーンとして描かれる。


本記事では、アニメ「バカとテストと召喚獣」(第3話)の当該シーンを取り上げる。


◆事例研究

◇事例:アニメ「バカとテストと召喚獣」(第3話)

▶1

明久(主人公、高校2年生)は、現在1人暮らしをしている。両親からの仕送りはあるもののその多くをゲームソフトなどの購入に充てているようで、彼はいつも空腹に苛まされていた


・Step1:ある朝、明久が駆け足で学校に向かっていた時のことだ。途中の曲がり角で、向こうからやってきた誰かと衝突。明久は尻餅をついた「痛たたた……」。

・Step2:見ると、相手は同級生の久保(男子生徒、優等生)だった。明久と久保は特に親しいわけではないが、面識はある。

・Step3:なおこの時、久保の足元には食べかけの食パンが落ちている。どうやら久保は食パンをくわえて走ってきたようだ。そして、明久とぶつかった衝撃で地面に落としてしまったのだろう。

・Step4:久保はすぐに立ち上がり、「いけない。急がないと1時限目の予習時間がなくなってしまう!」。その場を立ち去ろうとした。

・Step5:明久は慌てて声をかけた「ねぇ!」。久保が立ち止まる。明久は食パンを見つめる。その瞳はきらきらと輝いている。飢えをしのげるかもしれない……!!かくして彼は訊いた「それ、いらないの?」。

・Step6:久保には、明久の質問の意図がわからない。ゆえに彼は戸惑った「そうだね……もう食べられないから……」。すると明久は「もらっていいかな?」。

・Step7:久保はギョッとする。えっ!?ぼっ、僕が口をつけたものがほしいって、それはつまり……!!そう、久保は盛大に勘違いしてしまったのだ。

・Step8:これをきっかけに久保は明久を意識、特別な感情(おそらく恋愛感情、さらには性的な欲求)を抱くようになる。


▶2

以上をまとめると……

・1:食パンダッシュしてきた久保が、曲がり角で明久と衝突。久保は食パンを道に落とした(上記のStep1-4)

・2:明久は飢えている。ゆえに彼は、道に落ちた食パンをほしがった(Step5)

・3:一方、久保は明久が自分に特別な好意を抱いていると勘違いした(Step6-7)


道に落ちた食べかけの食パンをほしがる明久もとんでもないキャラだが、そんな明久を見て「僕が口をつけたものがほしいって、それはつまり……!!」と勘違いする久保も輪をかけてすごい。


▶3

冒頭申し上げた通り、食パンダッシュは様々な作品に描かれるストックシーンだ。だが、今回ご紹介した事例ほどユニークなものはそうはあるまい。

食パンダッシュというお約束シーンをよくぞここまで魔改造したものである。面白い!


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