【23年秋アニメ座談会#1】結局のところ「フリーレン」って何が面白かったんだろう？ ～「葬送のフリーレン」
🤯2023年秋クール（10-12月）のアニメを語ろう！：本記事では、ポプカルMAXによるオンライン座談会「23年秋アニメを語ろう！」（24年1月2日実施）の内容を一部抜粋してお伝えします。なお、完全版は動画でご覧いただけます→こちら。
「ポプカルMAX」とは？：ポップカルチャー（マンガ、小説、ラノベ、アニメ、映画、ゲームなど）好きのための、ゆるいコミュニティです。好きな作品について語ったり何かを作ったりして楽しむことを目的としています。
＜座談会の参加者＞
👉清水大地 マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。23年秋アニメは30作を最後まで鑑賞した。ちなみに、アイドルマスターシリーズの曲で1番好きなのは「ミツボシ☆☆★」。本田未央のダンスにご注目あれ。
👉村上空気 23年秋アニメは17作を最後まで鑑賞した。ちなみに、アイドルマスターシリーズの曲で1番好きなのは「ビッグバンズバリボー!!!!!」。わたしたちは一心同体！
🤯まずは秋アニメBest5を発表しよう
村上：まずは、2023年秋アニメのBest5をそれぞれ発表しよう。
村上：清水さんは、1位が「葬送のフリーレン」。
清水：そうだね。
村上：2位「カノジョも彼女 Season2」、3位「MFゴースト」、4位「ラグナクリムゾン」、5位「アンダーニンジャ」と。
村上：続いて俺は、1位「16bitセンセーション ANOTHER LAYER」、2位「葬送のフリーレン」、3位「アンダーニンジャ」、4位「MFゴースト」、5位「カミエラビ」。
村上：かぶったのは「葬送のフリーレン」「MFゴースト」「アンダーニンジャ」の3つか。
清水：「葬送のフリーレン」はまだしも、「MFゴースト」がかぶるとはね。
村上：これはどういうことなんだろう……。俺たちがオッサンになったってことか？
清水：いやー、どうなんだろう（笑）。
村上：（笑）。
🤯「葬送のフリーレン」の魅力1：対アウラ戦の構成
村上：それでは、清水さんが1位、俺が2位にした「葬送のフリーレン」から語っていこう。
清水：はい。
村上：最初に俺が言っておきたいのは構成ね、構成。例えばさ、皆大好きなアウラが死ぬ回（第10話）は構成がすごいと思うんだ。「アウラの死に様がいい」とか「『わからせ』がいい」とか皆言うけどさ、もちろんそれもいいんだけど――やっぱり構成よ。
清水：なるほど。
村上：あの回はさ、「卑怯」という言葉が冒頭から繰り返し登場するんだよ。でも最初の内は、何がどう卑怯なのか説明されない。ただただ「卑怯だ」って言うだけなの。フリーレンもフェルンもフランメも「卑怯だ」って。
清水：うん。
村上：でね、物語の中盤になってやっと「卑怯」というのが魔力を隠して戦うことを意味しているって明らかになるんだ。
清水：なるほど。
村上：つまり、「卑怯」というキーワードを使って謎を仕掛けて鑑賞者の興味を引っ張り続けるテクニックだね。対アウラ戦ってさ、要するに圧倒的な魔力量でフリーレンが勝つだけの話じゃん。ところが「卑怯ってどういう意味だ？」という謎があるから鑑賞者は飽きることなく見続けることができる。こういうテクニックがいろいろ使われていて、本当に上手いなって思った。
🤯「葬送のフリーレン」の魅力2：勇者パーティという謎
村上：あと注目したいのは……あれだ。「葬送のフリーレン」では、過去存在した勇者パーティと、いま存在しているパーティの2つの話が並行して描かれるじゃん。
清水：そうね。
村上：ただし、かつて存在したヒンメルたちについてはほとんど詳細が明かされずに物語が進む。特に最初の内は「勇者パーティが魔王を倒した」っていう紹介はあるけれど、ヒンメルがどんなキャラなのか、魔王をどうやって倒したかといったことは私たち鑑賞者にはちっとも開示されない。物語が進むに連れて、それが徐々に明かされていくわけだ。
清水：うん。
村上：この謎解き展開が上手いなと思うんだ。「ヒンメルってメッチャいいやつだったんだ」とか、「フリーレンのことをメッチャ好きだったんだね」みたいなのがわかってくるのが面白い。――ほら、なろう系作品って何ひとつ謎がない作品が多いじゃない。
清水：そう！それは本当にそう（笑）。
村上：だよね（笑）。「葬送のフリーレン」はこういう情報の小出し感みたいなものがよくて、それが他の作品とは一味違うのかなと感じた。
🤯「葬送のフリーレン」の魅力3：フリーレンというキャラ造形
村上：それから、フリーレンというキャラね。彼女はエルフで、もう1000年くらい生きているっていう設定だったよね。で、性欲もあまりなく、結婚とか恋愛に対しても欲がない。言わば、長く生きすぎた結果として生きることに対してあまり積極的ではなくなっているんだと思うんだ。
清水：うん。
村上：でさ、これって中高年の鑑賞者を象徴しているんじゃないかと思うんだよ。生きることに飽きている――いや、「飽きている」っていうと語弊があるけれど、まぁ先が見えているというか、この先も特に目新しいことはない人生を送ることになるんだろうと感じている鑑賞者そのものだよなと。
清水：（笑）。
村上：ただね（笑）、フリーレンは見た目はまるで少女のように若々しく、能力は世界最強レベルで、しかも慕ってくれる弟子もいる。さらに、あちこち行けば「あの伝説のフリーレン様じゃないですか！」と皆に声をかけられる。
清水：うん。
村上：しかも、だよ。フリーレン様は魔王を倒した伝説の勇者ヒンメルからも好かれていたと明らかになる。つまり、クラスのカースト最上位からも好かれているわけだ（笑）。もうまさに鑑賞者の理想像じゃねぇかって気がしてさ。
清水：あー、なるほど。
村上：そりゃ皆フリーレンを好きになるわなって。
清水：一見そうは見えないけれど、じつはなろう系作品でよく見る万能主人公タイプってわけか。
村上：そうそうそう。
清水：なるほどね。
村上：ただし、フリーレンはいやらしくないというか、あまり欲が見えないというか。ほら、なろう系の主人公って欲丸出しじゃん。
清水：そうだね（笑）。
村上：それに対してフリーレンは欲がないキャラなんだよね。そこがいい。
清水：上手いキャラ造形だねー。
🤯「葬送のフリーレン」の魅力4：その他
村上：清水さんはどう？この作品の魅力を一言で言うと？
清水：作画のクオリティが高かったよね。
村上：それはバトルシーンでも絵が崩れないって意味？
清水：それもあるし、あとはどれだけ動いているかとか。
村上：そういえば、フェルンやシュタルクが服を着るシーン・脱ぐシーンの作画が話題になっていたよね。布の動きがすごいって。
清水：そうだね。
村上：なるほど。
清水：それから、「葬送のフリーレン」はアニメ自体の出来もよかったけれど、話題性も高かったね。
村上：話題性？
清水：いわゆる「フリーレン構文」ってやつ。「さすがにそれは嘘だよ」みたいな。
村上：あー、あったね！X上で見たわ。
清水：今期私のXのタイムラインに流れてくるアニメネタは、ほぼほぼ「葬送のフリーレン」のものだったな（笑）。
次の記事に続く→こちら！
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