終わりなき最悪 ~ドラマ「After Life/アフター・ライフ」の場合
◆概要
【終わりなき最悪】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。
◆事例研究
◇事例:ドラマ「After Life/アフター・ライフ」(第5話)
▶1
本作の主人公はトニー(中年男性)。
彼は、ローカル新聞の記者である。
ある日のことだ。
・Step1:トニーは、カメラマンのレニーと共に、とある女性の家に取材に来ていた。
・Step2:女性が話す「今回の子どもは母乳で育てなかったから不便だったわ。当然母乳は出るでしょ?もったいないと思ったから、搾乳して、ライスプディングを作ったの」。
・Step3:「ライスプディング」とは、米をミルクで煮たおかゆのようなものである。女性は、ミルクの代わりに母乳を使ってそれを作ったというのだ。
女性はにっこり微笑んだ。
・Step4:一方、トニーは驚愕して「あなたの母乳で!?」。気持ち悪っ!こいつ正気かよ!!
・Step5:しかし女性は平然と続けた「考えてみたら自然なことじゃない?だって人間の体は母乳でできている。飲み慣れているものでしょ?」。
・Step6:トニーは困惑顔で「まぁ赤ん坊ならね……」「で、食べる人はいるの?」。
・Step7:すると女性は「ええ!大人気よ」。
・Step8:トニーは信じられないという表情になって「その人たちはあなたの母乳で作ったって知っているの?」。
・Step9:女性はうなずいた。
そして女性は、
・Step10:「試食してみる?」と言ってライスプディングを差し出した。
・Step11:トニーは「いや……結構、ありがとう」と遠慮する。まぁ無理もない。
・Step12:ところが――げっ!カメラマンのレニーは何の躊躇もなく食い始めたではないか!トニーは驚愕する。お前マジかよ……。
・Step13:直後、トニーは猛烈な吐き気に襲われた「うえっ!」。
トニーは、
・Step14:レニーの食べ方が気持ち悪くて吐き気を催したのだと慌てて誤魔化すと「話題を替えよう!」。
・Step15:というわけで、女性が次の話を始めた。曰く「私、パンを作る時は膣内の菌を使うのよ」。
・Step16:じっ、自分の膣内の菌でパンを作るの!?トニーはいよいよ気持ち悪くてたまらない「おえっ!」。
▶2
嗚呼、母乳で作ったライスプディング!
さらに、それを平然と食う同僚!!
トニーは吐き気を催す。
かくして彼は慌てて「話題を替えよう」と提案した。で――女性は言った「私、パンを作る時は膣内の菌を使うのよ」。
「母乳で作ったライスプディングの話題がようやく終わったと思いきや、次は膣内の菌で作るパンの話かよ!(笑)」「『一難去ってまた一難』とはこのことだ(笑)」「いつまで経っても気持ち悪い話が終わらない……(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。