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正義のために尽くしているにも関わらず、「あまりにも強すぎる!そのパワーはいち個人が所有していいものではない」「個人では有効活用できぬだろう」「政府・軍で管理すべきだ」などと批判され、精神的に疲弊する

トニー「いま最優先すべきは国民の幸せを……」
上院議員「最優先すべきは、アイアンマンという兵器をアメリカ政府に引き渡すことです!」

映画「アイアンマン2」


◆概要

ヒーローものでは、【特別なパワーや能力を得る代償として、強烈な副作用・反動を負う】という展開を見かけることがある。

【正義のために尽くしているにも関わらず、「あまりにも強すぎる!そのパワーはいち個人が所有していいものではない」「個人では有効活用できぬだろう」「政府・軍で管理すべきだ」などと批判され、精神的に疲弊する】はその一例。


◆事例研究

◇事例:映画「アイアンマン2」

▶1

本作の主人公は、トニー(男性、40歳頃、アメリカ人)。

彼はスーパーヒーロー「アイアンマン」の中の人である。

なお……

・Point1:スーパーヒーローといえば魔法使いや異世界人、人体実験によって超人的なパワーを手に入れた者も少なくないが、しかしトニーはその類ではない。彼は生身の人間だ。アイアンマンの怪力や防御力、飛行能力などはすべて「アーマー(=パワードスーツ)」に依存している。

・Point2:トニーは天才発明家。自らアーマーを開発した。


▶2

前作「アイアンマン」で悪党と戦い始めたトニー。

彼は世界中を飛び回り、平和のために尽力した。まさに正義の味方!いまや世界的ヒーローだ!!


……が、そんな彼の活躍に眉をひそめる者もいた。アメリカ政府やマスコミである。

彼らは言う。

・前提:アイアンマンのアーマーは「強力な兵器」

・主張1:確かにトニーは奮闘してくれている。しかし、だからといって24時間365日戦えるわけではあるまい。アメリカの敵国がいつ同様のアーマーを作り上げ、アメリカを攻撃してくるかわからぬのだから、アーマーは軍で管理・運用するのが適切だろう

・主張2:もっと言えば、トニーがアメリカの敵になる可能性だってゼロではないのだ。やはりアーマーは軍で管理すべきだろう


<Step1>

というわけで物語冒頭、トニーは上院軍事委員会に召喚され、アーマーの引き渡しを要求された。

だが、トニーは断固拒否!

なぜか?

理由は明白だ。

トニーは前作で、「アメリカ政府のために作った武器が → 悪党の手でテロリストに横流しされ → それが無実の人びとを傷つけていた」のを目の当たりにしているのだ。

政府・軍にアーマーを引き渡せば、同じように悪党の手に渡るおそれがある。同じ悲劇を繰り返してはならぬ!


かくしてトニーは、

・アピール1:アメリカの敵国(北朝鮮やイラン)がアーマーを開発しようとするもののちっとも上手くいっていない証拠映像を提示し、「敵国がアーマーを開発するかもしれないって?ないない、そんなのあり得ない!私以外に作れる者はいないさ」と反論した

・アピール2:自分が世界平和のためにいかに奮闘してきたかを力説した


また、正義の味方・アイアンマンは国民から絶大な支持を集めていた。

ゆえに政府は無理強いすることができず、この話は一度立ち消えになる


<Step2>

ところがしばらく後、「ハイテクのアーマーをまとったヴァンコ(本作のラスボス、トニーを逆恨みしている)がトニーを襲撃する」という事件が発生した。

トニーはアーマーを着用し、ヴァンコを撃退。かくして一件落着と思われたが……アイアンマンに近しいアーマーがすでに悪党によって開発されていると広く知られてしまったのだ。

世間は黙っていなかった。「トニーしか作れないんじゃなかったのかよ!?」「こうなったら、やはりアーマーは軍で管理すべきだ!」「トニー1人で世界を守れるはずがない!」という声が高まった。


<Step3>

トニーは精神的に疲弊する。

……まぁ無理もあるまい。世のため人のために奮闘しているのに、それをわかってもらえないのだ。心が折れそうになるのも当然だ。

さらに他にも嫌なことが重なり、彼はすっかりすさんでしまった。


しかしその後いろいろあってトニーは復活!再び現れたヴァンコをコテンパンに叩きのめし、多くの人びとの命を救った。

そして作中では明言されていないものの、おそらくはこの活躍によって「やはりトニーこそが正義の味方だ!」「アーマーは彼が管理すべきだ!」と考える人が増えたのだろう、次作「アベンジャーズ」を見ると相変わらずトニーがアーマーを管理・運用しているのがわかる。


▶3

超人的なパワーを持ち、そして世界平和に貢献しているからこそ、「そのパワーは軍で管理すべきではあるまいか!?」という批判にさらされ、かくして精神的に疲弊してしまったヒーロー……。

まったく、ヒーローは楽ではない!


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